2006年 08月 17日
今年の6月、ローマの北部のエトルリアの都市Veiiの遺跡の付近にて現存する墓内壁画の中で最古と思われる壁絵が見つかった。図柄は吠えるライオンの図。 稚拙であるが、表現力豊かでコミカルな雰囲気の大口を開けるライオンが何匹か列に描かれている。ライオンと言われなければ何の動物か想像のみにまかすような面白い絵である。頭上には渡り鳥が飛んでいる。渡り鳥はエトルリア人にとって時間の推移を象徴するものらしいが、吠えるライオンが何を表すのかはまだわかっていないという。考古学者がこぞって興奮するような最新の発見であるが、なにがイタリア的かというと、このお墓の中の壁画の存在が明るみになったのは熱心な考古学者のおかげではなく、墓荒らしの輩(イタリア語ではtombaroloという)が逮捕され墓あらしに参加したことに対して4年の求刑の裁判の席に着く前に弁護士を通してこの墓の所在を告白したのである。カラビニエーレに同行され前代未聞のこの墓に入った関係者の驚きたるや想像に値する。現文化大臣であり副首相のフランチェスコ・ルテッリも興奮気味に「ギリシャやフェニキアの初期時代の壁絵はすべて失われていることからも今回の発見がどれほど重要であるか推し量られる」と言及している。 専門家によればこの壁画は紀元前7世紀初期のものでこの付近の族長の墓であるらしい。 Veiiという都市は紀元前6世紀に栄えたエトルリアのテラコッタ彫刻制作の中心都市。ローマとの覇権争いにき込まれ最後には破壊されてしまうが、最盛期には10万人もの住民がいたというから当時では大都市である。Veiiのアポロ像は有名である。 考古学の発見の興味もさることながら、墓荒らしが文化遺跡発見に貢献するというなんとも悲喜劇的なイタリアの面白さがとても笑えるニュースであった。
by jamartetrusco
| 2006-08-17 01:45
| Storia (歴史)
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