2006年 08月 24日
Si sedes non isーSi non sedes is. 左から読んでも右から読んでも読める回文をイタリア語ではpalindromoという。上記のラテン語の格言はまさにpalindromoの一種であるが、面白いのは左から読んだときの意味は「座するものは進まず」、そして右から読んだときの意味は「座さぬものは進む」。双方とも逆説的に同じ意味を表している。 数日前アレと夕食後、色々と語っていたときに、突然この格言についての話となった。彼の気に入りの格言であったが、どこで見たのだったかなー、ということで早々にインターネットにて調べた。この格言が刻まれているのはローマにあるPorta Magicaー「魔法の扉」ーの扉の石枠の下部であることが判明。この扉、神秘に満ちている。 もともとこの扉は1655年にローマの元老院議員であるマッシミリアーノ・パロンバラ侯爵によって建てられたVilla Palombaraの一部であった。この侯爵は当時の少数の学問的エリートがしばしばそうであったように、錬金術などの秘教的学問の追求に熱心であった。自身の資産を使って多くの錬金術学者のパトロンとなり、この屋敷にてサークルを開いていたらしい。メンバーには王位を放棄した後ローマに住んでいたスウェーデン女王クリスティーナも入っている。この屋敷はあいにく19世紀の後半新地区開発のために破壊されてしまったという。なんとも残念なこと。ただ幸いにも屋敷の離れの入り口であったこの扉のみが残り、現在ではヴィットリオ広場の「魔法の扉」として訪問者の好奇の的となっている。魔法というよりは錬金術的扉と称した方が適切であろう。扉に細工されているシンポルや言葉など、すべて秘教学の錬金術に関係しているのだ。そして上記の格言がその中のひとつである。 9月頭、ローマに娘のパスポートの更新に行かなくてはならないので、その際に是非このPorta Magicaを見て来ようと思っている。こういう秘教学など興味津々である。ヨーロッパの多くの文化、芸術の根底に流れていると思うのである。 さてこの格言、どうも主人の展覧会プロジェクトに関わっているらしい。アムステルダムにあるイタリア文化会館にて展覧会の提案をしたい意向があり、そのために提出する企画書のようなものが必要らしい。9月にそのミーティングがあるのでそれまでに提出する必要があるのだが、こんなにゆっくりで良いのかなと実は懸念している。 「静止するものは進まず」「静止せざるものは進む」。当たり前のことなのだが、人生の究極的な真実を語っているようである。そして作品制作についても同様だ。 アレの現在の心境を物語る一言である。是非とも静止せずに進んでもらいたいものだ, この川の流れのように。
by jamartetrusco
| 2006-08-24 23:54
| Storia (歴史)
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