2007年 03月 28日
ローマのポポロ広場にて21〜29日までの期間、“Trash People"(ゴミ人間)と題される面白いインスタレーションに出くわすことができる。 H.A.Schultというドイツの作家の製作で、等身大の人間の形なのだが象っている素材はありとあらゆる「ごみ」。現代という時代の象徴は毎日人間達がその営みの中で作り出す膨大なごみであり、そしてしばしば我々自身も「ごみ」であるという風刺的な視点と問題提起からすでに過去10年間にわたりゴミを素材に使って人物を作り続けている作家である。 圧巻なのは1000体にもわたるその広大なインスタレーション。 広いポポロ広場を埋め尽くすごみ人間たち。素材になるごみは空き缶からコンピューターに至るまで。ごみであるからその汚臭を洗い流すのに30人ものアシスタントを使っての作業。そして清浄されたごみの群を人型への変貌させていく。 このインスタレーション、すでに万里の長城、エジプトのピラミッド前、ロシアの赤の広場と繰り広げてきた。ローマの後はバルセロナで展示予定だ。 今の時代の象徴は「ごみ」。確かに毎日自分でも出すごみの量には辟易する。 何を買ってもごみがでる。スーパーの過剰パック。以前はガラス瓶だったものもすべて缶やプラスチックに成り代わっている。海に打ち寄せるプラスチックのペットボトルの数の多さ、その醜さ。電気製品なども壊れれば修理するより新しいものを買ったほうが安い、手っ取り早いというのが常識のようになってしまった今の時代。コンピューターにしても次から新しいモデルが出て、古い機種を使っていてはテクノロジーの進歩に追いつかない。 ごみの処理がひとつの産業になりつつある。そしてそのごみを違法商売する人々。 他の国で出たごみが中国のゴミ捨て場にまで渡っているという状況。 確かにゴミはもう我々社会のシンポルである。人類は何故こんなにごみを作りだすアニマルになったのだろう。この100年に出したゴミの数は数千年の人類の歴史で出したごみより多いに違いない。 このゴミを再利用し、そして彫刻と変貌させ、世界の各都市にてインスタレーションを実現させるこの作家の物理的労力(助成金もたくさん入るに違いない)と情熱は凄い。そのメッセージはわかりやすいく力強い。 ただ「美的」という観点から言えばクリストがなす巨大パーフォーマンス・インスタレーションの方に軍配が上がるが。 最後にはどこに行くのだろう、このごみ人間たち、、、。 そういえばこの人間の集団で思い出した。以前紹介したアンソニー・ゴームリーの海岸に置かれた多数の彫刻の人型の話し。ついに地元の一部の反対を押し切って永久展示されることになったそうである。
by jamartetrusco
| 2007-03-28 01:02
| Arte (芸術)
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