トスカーナ 「進行中」 In Corso d'Opera

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2009年 04月 22日

国芳=アヴァンギャルド

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歌川国芳の展覧会がロンドンのロイヤル・アカデミーにて開催中であるが、この展覧会予想以上の集客で大成功を収めているのである。同会場にて北斎、広重と浮世絵師の展覧会を過去に行っているが今、国芳を見せることの意義とそのタイミングは抜群である。
近年の日本の文化に対するヨーロッパの若者達の関心は以前のソニー、トヨタ、カメラなどの産業製品が日本国をあたかも象徴してきたものとかなり異なってきている。幸いなことに。
私の知るのは特にロンドンの若者事情であるが、東京スタイルへの憧れ、漫画、日本の若者文化の
諸現象を興味深く見守るティーンエイジャーが増えている。日本は是非行ってみたい国の上位である。BBCの番組でも人気プレゼンターのジョナサン・ロスがJapanoramaという
ドキュメンタリー番組を制作し現代日本のポップ・カルチャーを紹介して人気を博したのも記憶に
新しい。
かつては東洋文化、伝統文化、禅を始めとする仏教などかなり絞り込まれたいわゆるハイカルチャーと呼べるテーマに興味を持つ人のみが日本を訪れたものである。今では「漫画」を始めたとした大衆文化の面白みへの興味がかなりの割合を示しているのでは。日本の独自性と奇抜性は実はこのような大衆文化を紹介することによって真に理解を促すようにも思う。いつまでたってもお茶とお花と、というのではあまりにも片手落ちである。

この日本の現代の文化を象徴するかのような「漫画」、「劇画」の原点がまぎれもなく国芳の版画である、とこの展覧会を見て確信した。
18世紀の終わりから19世紀の半ば過ぎまで行きたこの版画師の想像力とイメージの構築力の凄さはなんだろう。
武者繪や役者絵の迫力はもちろんのこと、蛸や人間の性器を使ってのブラックユーモア溢れるグラフィックの斬新さ。

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人間の体を使って肖像を形作るその発想はイタリアのアルチンボルドと比較できる。国芳はもちろんアルチンボルドの作品など見る術もなかっただろうから、東と西の時代は異なる作家の想像力と風刺性の共通項は面白い。
主人公の人物よりも巨大な骸骨やクジラが画面の全面を占める構図はまぎれもなく国芳のエキセントリックなオブセッション、つまり彼の興味がなにに向かっているかを表しているようだ。
過去に作られた作品について「現代的である」と形容するのはいかにも月並みであるが、国芳の前衛性は今現在の日本のすべてのサブカルチャー、カウンターカルチャーの源泉であるような気がしてならない。体制的風潮から逸脱した一匹狼の作家。

この展覧会の出品作品のほとんどはアメリカの著名な法律学者であるアーサー・R・ミラー教授のコレクションからなり、このコレクションは近年大博物館に寄贈されている。
おそらく日本でも未公開の作品が見られるのではと思う。必見の展覧会である。


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by jamartetrusco | 2009-04-22 20:42 | Arte (芸術)


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