トスカーナ 「進行中」 In Corso d'Opera

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2010年 02月 01日

感想

見ようか見まいかと迷っていた3D映画「アバター」を昨日娘と観た。
そして感想。「アバター」ヘの先入観を持ちたくない人はどうぞ無視してください。

まず宮崎駿の映画「天空の城ラピュタ」、「もののけ姫」そして「風の谷のナウシカ」を
しっかりと見たことのある人はすぐ気がつくであろうその映像の類似性。
どうみてもこれは映像的影響を受けたに違いない。キャメロン監督がそのことを
言及しているインタビューなどあるのだろうか?
パンドラ国の住む森や天空に浮かぶ森の島やそして不思議な色彩の森の奥深くの
植物などなどまさに宮崎監督がすでにアニメの中で映像化している風景である。
もし一言もそのことを触れていないとすれば不思議である。
話しの内容も似ているところがある。
自然を守る一握りの人間と自然に宿る神々とそしてそれを拒み、征服しようとする人間達との
葛藤。宮崎映画の悪人役の中にある弱みとややユーモア溢れる人物像はこの映画には
ない。ただただ悪い人間の存在である。ベトナムやイラク戦争へ走る植民地征服的感覚の
悪人たち。自然を破壊し、原住民を皆殺しにすることなどものともしない悪人である。
しかし話しの展開は宮崎映画にあるような幻想性はなく、常からあるアメリカ映画の得意とする善と悪の対決、土着であるアメリカ・インディアンを襲う侵入者である悪いアメリカ人とアメリカ・インディアンを守る数少ない善人のアメリカ人との対決、そしてこの善人のアメリカ人とインディアンの酋長の娘との恋愛物語、などなどもうあまりにもワンパターンで月並みな話しと要するに同じである。
そこには申し訳ないがひとかけらの情緒も生と死の悲哀もない。善対悪、武力対自然の力など、かなり短絡的な2元的な話しである。
さらに、ある新聞記事によるとこのパンドラ国の世界はすでにロシアの60年代のSF文学者であり、タルコフキー監督作の「ストーカー」の原作者でもあるストロガツキー兄弟による著作"Noon - 22nd Century"の中のNoon国と極似していることを指摘している。
そう思うと宮崎世界ももしかするとストロガツキー兄弟の影響があるのかもしれない。

この映画が話題性があるとすれば要するに3Dであることと宮崎世界の幻想をアニメではなく
現実の映像のように見せ、映像があっといわせるような特殊効果の極致に到達している、という
ことである。物理的に言うと3D用の眼鏡をかけての2時間半以上、目が大変疲れたのも否めない。たぶんそういう人も少なくないのではと思う。

映画としての全体の娯楽性はもちろんあるし、見て損をしたと思うような映画ではないが、一体
この映画をして多くの人々が鬼の首をとったように感動の歓声を挙げる事自体が不思議である。
はっきり言って新しい効果の面白さのみであり、映画としての深い感動などかけらもなかった。
日本にて公開されてどんな評価を得るだろう。

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by jamartetrusco | 2010-02-01 01:47 | Cinema (映画)


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