トスカーナ 「進行中」 In Corso d'Opera

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2010年 04月 12日

知られざるアフリカ

近頃どういったら良いのか、様々な展覧会を見てもなかなか感動できなくなっている。
美術という無限なる領域の中で過去何十年にもわたり絵画史、美術史に名を残す様々
な作家、学派などの展覧会を網羅してきた。まだ体験、知識が少ない時代に実物の
作品の前に感じる新鮮な驚きや感動は今では再体験することは難しい。これは「知る」
ということの弊害であろう。もちろん見れば見るほどに見えてくる真実というのもある
のだが。
見た後になるほどと頭にて消化する展覧会は幾度となくあるが、魂に訴えてくるような
感動を与えてくれる美術展覧会というのはあまり多くはない。

今回の短いロンドン滞在中に見た展覧会 "Kingdom of Ife"はそんな中で新鮮な驚きを与えてくれた。
12〜15世紀にかけて現在のナイジェリアの南部にあたる地域に栄えたIfe王国のブロンズ、テラコッタ、石などの彫刻を見せる。今までアフリカ美術というと木やブロンズ製の人間像や仮面で、いわゆるピカソが影響を受けたと言われるような一群のプリミティプで力強い彫刻を思い起こす。
扱いも文化人類博物館の範疇に入っている場合が多い。しかしこのIfe王国の頭部彫刻は全くそれとは趣きが違う繊細で技巧に長けた、まさにその人物を目の前に見るかのような自然さと独特の美学がある。王侯貴族の頭部なのだろう。顔に縦に走る細かい線が彫り込まれているが、高貴な地位の象徴と思われる。
20世紀初頭にドイツの探検家のレオ・フォルベニウスが発掘するまで西欧では知るものもなかったいかなる西欧彫刻にも劣ることない卓越した彫刻群である。
ひとつづつの顔の表現から発されてくるのは誇り高い魂の平安である。奥底から来る微笑みに近い淡々とした柔和な表情である。それはどこか仏像の笑みに近い。彫りの巧みもどこか控えめな無名の作家の純粋な巧みである。
西欧一辺倒の美術史に新たな光を与えてくれるの違いない。まさに一見の価値がある展覧会である。「知られざるアフリカの偉大」を発見させてくた。


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by jamartetrusco | 2010-04-12 18:10 | Arte (芸術)


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