2010年 05月 04日
先日紹介した木彫家ルカに続いて、惜しくも熟年期に亡くなっているGiorgio Picciniー ジョルジョ・ピッチ−ニの作品展が同サン・フランチェスコ美術館にて開催されている。 作品展といっても彼も含めた10人の作家のグループ展で、手法は違うがグレーベ近くの 集落Lamoleに住むという共通項のある作家達である。 "4 Elementi" (四大要素)という題名に匹敵するような力強い作家は残念ながら彼だけである。 今は亡き作家へのオマージュを兼ねた展覧会である。 彼の作品に初めて遭遇したのはアレとこの地域に住み出した当初隣街のPanzano in Chianti 近くの人里離れたEremo alle Stinche という隠者の住むような僧院を訪れた際である。 薄暗い礼拝堂内に置かれていたオリ−ブの彫刻はキリストを象ったものと思われるが精神性を 強く感じさせる凄みのある人物像であった。 実際に会ったこともある。アレが初めてグレーベにて個展を開いたときに訪れてくれた。 隠者のようなどこか超越した感じの小柄で温和な人柄を今でも覚えている。 彼の作品はこの付近の小さな教会内に置かれている場合があるが、ほとんどの場合ミサのある 日曜日以外は閉まっており、なかなか日常ではお目にかかることはないので今回の展覧会は 貴重な機会でもある。 作品数がもう少しあると良かったがそれでも置かれているオリーブの彫刻はいずれも迫力あるもの。 オリーブの木の歪曲した形体から人間が自ら外に出ようともがいているようなどこか痛々しい作品。 彼はおそらく病を煩い死を予期していたのだろうか、生命と死を強く感じさせる作品ばかりである。 木彫というと仏像である日本とは対照的にカトリックのイタリアではキリスト像や聖母マリア像である。 そして人間を抱擁するかのような仏教に対して痛みのあるカトリック教の精神文化の根本的違い。 生命の誕生もどこか生々しい。赤子を抱く像を取り巻くいくつかの顔面は何を意味するのだろう。 十一面観音と同じような功徳の意味を持つのだろうか。 語るのは今では作品のみである。
by jamartetrusco
| 2010-05-04 16:48
| Arte (芸術)
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