2010年 10月 11日
昨日フィレンツェのピッティ宮殿内、フィオリーノの間にて日本から訪伊中の中村鶴城師の琵琶リサイタルが開催された。 琵琶という楽器は琵琶法師の耳無し芳一の話しで有名で、 その音色はもちろん知っていたが、実際に弾くところを見る、というか聴くのは初めてである。 琵琶のリサイタルというのにはこの空間はあまりにも装飾過多である。 ピッティ宮殿の内部装飾は18世紀ナポレオンがこの宮殿を拠点とし、その後サヴォイア王宮のものとなったおかげで、メディチ家の館であった建築当初の15世紀のルネサンス様式はことごとく改装され跡形もない。また椅子に腰かけての演奏はどこか違和感がある。師もさぞ弾きにくかったのではと想像する。 しかし、なんという音色だろう。師の絞り出したような迫力ある声音とともに琵琶の弦をたたくようにはじくバチの力強さ。まるで弦が切れてはじけそうである。一瞬にして高低と強弱の音が交互する。号泣のような音もあれば怒濤のような音もある。そして消え入るような炎の閃きのような音も。 とにかく劇的なのである。音のみで感情のすべてを表せるような、表現力豊かな弦楽器。その表現力はバイオリン以上にも思える。楽器を体にむかって縦に置いて弾くのも他の弦楽器にない。バチを弦に向けてはじくにもこのバランスを崩したらおしまいだ、という体勢である。 極限の危うさから生まれてくる音色。 そんな印象を受けた。
by jamartetrusco
| 2010-10-11 21:24
| Musica (音楽)
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