トスカーナ 「進行中」 In Corso d'Opera

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2010年 11月 04日

Tusciaelecta

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Tusciaelectaトゥッシァエレクタと呼ばれるキャンティ地方の各都市を中心に開催される現代美術展がある。1996年に発足し、キャンティ領域内の様々な町の中の屋内、屋外の会場に点在した形で企画される広範囲の地域展覧会である。地域の歴史や自然に見合った作品の展示や常設の設置など様々な形でアートを地域に広めていこうという動きである。発足した1996年はかなりの規模で作家もマリオ・メルツなどの世界的に著名な作家も含まれてのものだったが年々景気を繁栄してか小さくなってしまったのはやや残念である。しかし続けることに意義があるとも言える。
今年はインプルネータ近辺に焦点を当てて企画された。インプルネータはフィレンツェ圏内にある小都市で、11世紀建造のサントゥアリオ・ディ・サンタ・マリア教会が広場に堂々と建っている。この教会は基盤はエトルリア時代と云われ、この地域内では特に重要な歴史建築物と見なされている。
この他にインプルネータが有名なのはそのテラコッタ産業である。フィレンツェの大聖堂の円蓋の煉瓦も建築を担当したブルネレスキがこの地域から求めた伝えられている。中世、ルネンサンスの時代から煉瓦造り、テラコッタ造りで栄えた地域ということ。良質の粘土がこの辺りに豊富であるのがまず第一。赤レンガではシエナ圏がとりわけその製造と使用で有名であるが、インプルネータの煉瓦の
方が土質が良いのか寒さに強いと聞く。ひび割れる危険性が少ないということであろう。

この展覧会のメイン会場はインプルネータの町から少し出たところに位置するPoggi Ugo—ポッジ・ウーゴーというテラコッタの工房。この工房は14世紀から存続し、この地域では最も古く大きい窯場と言われる。他にあまり見られない正方形や渦巻き型など珍しい形の植木鉢や壷も生産しており現在の経営者がデザイン志向で、自分たちの工房の特殊性を打ち出そうとしているのがわかる。処狭しと並んでいる大壷の群れ。やや白味がかった赤色の質感は通常のねっとりした赤色とは違ってなかなか美しい。デザインも通常の花や果物のモティーフがふんだんに使われた装飾過多のものは少なく、すっきりしている。

この工房で制作した煉瓦を使った作品としてアメリカ人の彫刻家Alain Sonfistの常設インステレーション、題してBirth By Spearのお披露目があったのだが、自然との共鳴を目指すランドアートとしては幾分力に欠けるように思えた。せっかくの素材と自然を活かしきれていない。この作品よりそのシンプルさと大きさで目に留まるのはイタリアの彫刻家、Staccioliスタッチョーリのテラコッタ製の大円形。空の一部を内包したような大円。スタッチョーリは以前記事にしている。
同じ円形であるが金工の質感と違ってテラコッタ素材の温かみが加わった。

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町中にあるマシーニ工房では年の半分はフィレンツェ近郊の自宅スタジオに住むアメリカの女性作家、ベッティー・ウッドマンの作品が展示されている。工房の内部には古くから使用されてきた煤で真っ黒になった貫禄ある室窯がいくつかあり、その中での展示。この古い室窯は現在は使われておらず、歴史を見せるための展示品のようになっているようであるが、歴史の重みを伝えてくれる圧倒的な存在間のある空間。代々続くテラコッタ生産の情熱を語ってくれた若主人。作家とも長い縁だそうで、彼女の作ったカラフルな釉薬のかかった作品は黒い窯場を背景に効果的だ。


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by jamartetrusco | 2010-11-04 20:00 | Arte (芸術)


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