トスカーナ 「進行中」 In Corso d'Opera

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2011年 01月 28日

生き残りの紙

アレの紙油彩の作品の素材となっている黄紙については何回か紹介した。
その昔本当の藁を入れて作られていたcarta pagliaー真の意味の藁半紙。
最近では製造が機械化され、質もどんどんと落ちてきて、昔のざらっとした
触感の素材感溢れる紙質はなくなっている。
紙は重量にて購入するので、紙が薄ければ薄いほど多くの枚数が手に入るのである。
90グラムから80グラムヘ。
10グラムの違いでも紙が薄くなったのがわかるのである。
ところが今日素晴らしい再会があった。
90年代初頭には普通に売られていた昔ながらの藁半紙を再発見したのである。
再発見と言ってもこの紙が未だに製造されているのではない。
悲しいことにすでに絶版となったこの紙がたまたま売られずに残っていた紙の
卸店を発見したのである。
店のご主人と「この紙に絵を描いている、最近では良質の紙がなくなってきた」
という話しをしている内に、思い立ったのか、昔ながらの黄紙を見せてくれた。
トラットリアなどで使い捨てにされるのではあまりにも残念なので次の持ち主が
見つかるまで取って置いたのかもしれない。
紙とともに生きてきたこのご主人はアレの純粋なる情熱を感じ入ったのかもしれない。
ご主人曰く92年のイタリアの政府が百万リラ(当時はリラ)の出来高がなければ
個人企業は存続すべからず、という法律を作ったので当時兄弟3人で手作りの
紙を製造していたこの小さな紙工房は閉めざるを得なかったということ。
この手作りの紙は本当に日干ししながらできた藁半紙であるので水にも強く
使った後も洗って乾かせばまた使えるという良質のものだったそうだ。
近代化の波に生き残れなかった素晴らしい職人達の貴重な仕事はどれほど消え去って
しまったのだろう。
実に残念で悲痛な話しであるものの、この生き残った紙を作品として残せたら
こんなに光栄なこともないのである。
紙を横から撮ったイメージはそのままアレの描く風景画のようだ。
紙よ永遠なれ!

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by jamartetrusco | 2011-01-28 00:02 | Paese (土地柄)


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