2012年 01月 08日

最近のアレの風景画は日にちを追うごとに抽象性を増し、そして奥深くなって
きているようだ。
空と陸地の境界線である地平線は徐々に姿を消し、代わって朦朧とした空気感と
空か山か川か湖か、いずれにも見えるひとつの自然のエッセンスが現れている。
暗澹たる色彩でもあるが、それがまた妙に心安まるのである。

仕事場は自然光が全く入らない。朝から晩まで電気のランプという人工光のもとで
制作している。今日友人に指摘されていかにも、と改めて実感した。
画家で自然光皆無で仕事をするというのはかなり致命的にも思えるのだが、この
ハンディキャップがかえってアレの制作のひとつの特徴となってきているのかもしれない。
災い転じて福となす、の哲学。

思うにニューヨーク発祥のロフトスタジオのような天上高く、窓が大きく、自然光に
苦労しないようなスタジオで制作できる作家は過去にどれほどいただろう。
ルネサンス期の画家達は大きな空間での工房制作もあったと思うが、レオナルド
ダヴィンチは想像するに蝋燭の灯火のもとにひっそりと絵筆を取っていたような
気がする。フェルメールもかの有名なそして稀少な室内画はすべて屋内で描いて
いたのであるから。あのオランダの空の低く太陽の少ない土地柄でおそらくさほどの
自然光は得られなかったに違いない。
太陽の光がないからこそ、そこに自分の心の、頭の中にある光を求めることも
あるだろう。

この風景にあるのは地表奥深くから流れ出る光輝く泉のような、幻想的な気配である。


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by jamartetrusco | 2012-01-08 00:19 | Arte di Ale(アレのアート)


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