2012年 05月 24日
季節の良い今の時期になると必ず採集しにいく香草が野生のフィノッキョ、 日本語ではウイキョウ(茴香)。散歩がてら歩く土道があり、石壁の回りに生えている。 新芽も新葉もふさふさした緑、目に鮮やかな春の色である。 これがだんだんと成長すると固い灰色の枝となり黄色の花をつける。 この花の種は香りがアニスに近い独特なもので、肉や魚料理に好まれ使われる。 普通にマーケットでも売られているフィノッキョは根っ子の白い部分。 これは野生フィノッキョとは同種ながら別物である。形から雄雌の区別があるのが面白い。 細長いタイプは女、まるっこいのは男。人間世界の形体とは反対。 雄のほうは筋があまりなく肉厚でサラダなどにして生で食べるのに向いている。 さて野生のフィノッキョの新芽。地中海地方独特の植物でその歴史は古く、エジプト、 古代ローマの頃から食用として使われていたそうだ。胃腸整腸作用など薬草としての効果もある。 野生フィノッキョの料理法を教えてくれたのはシチリア人の友人ピエトロ。 春先に出てくるこの柔らかい新芽を野原で集めてトマトとともに煮込んでパスタのソースとして 出してくれたのが最初。それ以来やみつきに。 地中海海岸近くの気候が一番適して野生するので、シチリアで多く食されるのは納得。 内陸のキャンティ地域周辺では採集する人もあまりないようである。 シチリア料理ではイワシとトマト、松の実、干しぶどう、そしてこの野生フィノッキョの たっぷり入ったパスタが有名だ。 トスカーナのリヴォルノ沖の島カプライアに1週間ほど滞在した際にその元気な育ちぶりに驚いたものだ。 夏の暑さと野生フィノッキョ独特の香りーイタリアの海の風と強い太陽の日差しでほんのり香って くる独特の野草の香りは五感に感じられる夏の象徴である。ぞくぞくするほど官能的な。 今年の夏は久々にトスカーナに残り、夏の風物を満喫したいものだ。
by jamartetrusco
| 2012-05-24 15:59
| Natura (自然)
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