2006年 05月 03日

Opus ー 「大宇宙」の表象化

アレのドローイングは面白い。イタリアに古くからどこにでもある食べ物を包むための黄紙に油彩で描き上げたものだ。数えきれない量のドローイング。キャンバス絵の下準備の意味もあるのだが、かえってこの紙ドローイングの方が表現豊かで、即興的で面白い場合が多い。
その中で私の特に好きなシリーズ22点の「オプス」 "Opus"。 

f0097102_16533724.jpg昨日も少し触れたダビンチ・コードに"Opus Dei"の言葉が出てくるので、神の偉業のような意で捉えられこの言葉「オプス」。 でもアレの「オプス」の捉え形は違う。彼の意味するのは"realizzazione alchemica della Grande Opera" 、すなわち、偉大なる「大宇宙」の錬金術的成就である。

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錬金術は一般的には普通の金属を精錬して金を作り出そうとした前近代的化学技術の意味合いが強いが、それだけでなく、化学、冶金、物理、薬学、天文学、記号学、神秘主義、精神主義、芸術の諸要素を組み合わせた極めて哲学的志向の強い学術である。古代エジプト、ペルシャ、中国に始まり、ギリシャ、ローマ、イスラム世界、そして中世、近世ヨーロッパを経て19世紀頃まで広く普及し実践された学問である。ヨーロッパの芸術の根底にあるとも言える。

錬金術ーalchemiaーはアレにとって自身の制作を語る上で不可欠な要素だ。画家というのも元々は様々な顔料や膠や、またときには泥や動物糞やらナメクジの粘着やら、とにかく雑多なものを混合しながら自分の色彩、素地を作ったのである。だからその意味ではかれらも錬金術師、そこに自身の思考やインスピレーションや宗教や哲学や目に見えるもの、見えないものがすべて混ざり合ってひとつの作品となるのだろう。アレはまさにルネサンス期の芸術家顔負けに、物理的、非物理的要素を錬金術的に制作に混入させている。一枚の「包まれた遺物」の絵の背後には錬金術的思考体系が隠されているのである。 語るにはなかなかむずかしい。


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“Grande Opera", 文字通りには大傑作、故に「大宇宙」の実現に一筋の閃光が見えてきたというところか。
















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by jamartetrusco | 2006-05-03 17:11 | Arte di Ale(アレのアート)


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