トスカーナ 「進行中」 In Corso d'Opera

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2006年 05月 06日

作家の心 ー 聖と魔の住む処

ものつくりの世界には聖と魔、光と闇が並存している。狂気と天才との紙一重のきわどい領域。そこに芸術の花は咲くような気がする。 アレの生き方、哲学を見ていても聖人の悟りに近い存在の受容がある。生きる上での日常的困難や危惧など人並みにあるのだろうが、そのようなことはまるで息することのようにさらっと受け流す。私の方がよほど毎日の懸念や悩みに翻弄されている。そんな時の私に対しての彼の反応は実に心強い。とにかく今までも生きてこられたし、今日も生きているのだし、それ以上何が必要か、ということを正してくれる。しかしこんな仙人的哲学の根底には「聖」の持ち合わせる「魔」の暗澹たる部分がマグマのように流れているのだ。
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生に対してさほどのこだわりがない一方、己の心の調和、平安を妨害されることを、人一倍嫌っている。静かな心海に他者が侵入し、さざ波をたてるのを断じて許さない。まあまあ、世間はそんなものだから良いじゃないの、というような妥協的な想いは彼の中には存在しない。自分の行為も他人の平安を傷つけたりすることはしないと誓うかわりに、他者からの妨害は受けつけない。それ故、この世の中、人の存在をあまり必要としないところもある。
彼が対するのは自分自身のみである。奥底の寂々たる心層に己の真実を見いだしそれを表現する、その際にはそこに潜む魔心も必ず見えるはずなのだ。真実には必ず裏表があるように。この世界には私としても入りきることはできないような気がする。

初めて彼と住み始めた頃、彼は突然絵が描けなくなった。私との心の通う生活が始まると同時に自分本位が揺らいでしまったからだろう。その時、やっぱり作家というのは孤独の中からしかものがつくれないのか、と問いつめた。 すると彼曰く「そういう作家もいるが、そのようになりたくない。二人の調和の上に引かれる道を見いだしたい。」と。 娘の誕生のときもしかりである。彼のものつくりの列車には今や私も娘も乗り合わせている。ひたすら脱線しないように気をかけながら。今では私たちの存在も彼の宇宙の中の不可欠な要素となった。辿る道はまだまだ長い。

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by jamartetrusco | 2006-05-06 19:39 | Arte di Ale(アレのアート)


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