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2006年 05月 17日

「絵もしくは画家」バトンー私流

わたしの好きなブログカイエのlapisさんの「絵もしくは画家」バトンが面白いので勝手に受け取ることにした。奇しくも私が小さい頃から好きだった絵、怖かった絵について今日書こうと思っていたところ。
勝手に題材をアレンジしてみる。今回は西欧絵画にしぼった。日本編はまたの機会に。

私が小さい頃怖かった「絵」2枚

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アンリ・ルソー(1812〜67)の「眠るジプシーの女とライオン」。 この絵はなぜ子供心にこんなに恐怖心あおったのだろう。絵画集のページをめくるに、この絵だけは目を閉じて、大急ぎで次のページに移ったほど、観るのが怖い絵だった。それもアンリ・ルソーはナイーブ派で、さほど写実性に満ちているわけでないのに。思うに彼の画像は夢に見る世界のそれに近いのかもしれない。非現実的な未知の世界、それは想像力をかきたて深層世界まで飛翔していく何かなのかもしれない。それ故、子供の想像力に文句なしに入り込み恐怖心をかきたてたのか。




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もう一枚、やはり理由なく怖かった絵。フェルメール(1632〜75)の「赤い帽子の女」
フェルメールは私の大好きな画家のひとりである。彼の描く絵は一枚一枚、独特な空気と空間に満ちていて、日常の室内風景を描いているにもかかわらず、日常からその瞬間切り取られたようなひとつの異空間を作りだしている。さてこの肖像画が怖かった由縁、たぶん単純にこの人物の異様な目つきではないかと。また目立つ赤い帽子の形も作用していたのかもしれない。










大学時代にテーマとして選んだ「絵もしくは画家」の中から2名


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ヒエロニムス.ボッシュ(1450頃〜1516)
この画家の絵は文句なく非凡である。どのような頭脳、精神にてこんようなファンテスティック、かつ悪魔的、生き物たちを描けたのか。これほど宗教的でありながら異教的である、まれに見る不思議な画家。





f0097102_1895552.jpgサンドロ・ボッティチェリ(1445〜1510)
かれの全存在がフィレンツェのルネサンス文化、社会、精神を象徴しているかのようである。
花のようなフィレンツェ最盛期をロンレンツォ・マニフィコとともに生き、そしてフィレンツェの安定に影がさすサボナローラ糺弾の時期に心身とも捧げたボッティチェリ。これほどひとりの画家を通して、フィレンツェの歴史が語れる場合はないのでは、と思う。今でも人前で話すのが大嫌いな私が、高校と大学のクラスを前にして、この画家の生涯について語ったことを思うとボッティチェリへの入れ込み様がいかほどであったか。



昔嫌いで今好きな「絵もしく画家」の中から2例
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イタリア・マニエリズムの画家たち
先日のブログにも書いたが、ポントルモを初め、ロッソ・フィオレンティーノ、ベッカフーミ、パルミジャニーノ、ブロンツィーノ、どの画家も個性あふれ、複雑でつかみどころがない。
まだまだこれから深めていきたいと思っている。



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そしてルーベンス。たんなる肉体の塊の露出と思っていたが、かれの出す色彩と、そのダイナミックな構図は今では目をみはる魅力だ。







最近特に見直した「絵もしくは画家」の中から3名
今も昔も好きな「絵もしくは画家」ではあまりにも広大で挙げ出したらきりがないのでこのように括ってみた。


f0097102_18103952.jpg最近その偉大さを見直した画家、イギリスのジョゼフ・マロード・ウィリアム・ターナー(1775〜1851)。たまたま続けて良い展覧会にめぐりあったせいもあるが、かれの晩年期の色彩の錯乱のような絵、現代抽象画の先駆けとしてあまりにも圧倒的だ。風景を色彩と大気のみで表した類い稀なる画家であろう。絵の前に佇んでいると中に吸い込まれそうになる。ただ印刷の画像ではこのすごさは伝わってこないのが残念。だから図録は購入しない。





f0097102_1891041.jpgやはりイギリスからフランシス・ベーコン(1909〜1992)
絵は独学で学んだという。その強烈であると同時に曖昧模糊としたイメージは人間か、その抜け殻か。いみじくもベーコン曰く「芸術とは単に事物を表すのではなく、感情のある領域を開放するための手段である。自分の絵で表したいのは、かたつむりの歩みが残した足跡のように、人の存在と過去の記憶の軌跡そのものの投影である。」 故に彼の表すイメージは人を中から裏返しにしたようなグロテスクな表象になるのだろう。カンバスに力強い色彩と明快な構図で訴えてくる彼の絵は「絵画の絵画たるべき」存在感があると思う。また興味深いのは、好んで使ったカンバスのサイズは78 x 58 in.(198x147.5cm), そして小さいカンバスで、14x12 in. (35.5x 30.5cm), その二通りのサイズしか描かなかったことだ。かれのはっきりした意志と頑固さが見えるようである。







f0097102_18102547.jpgディエゴ・ベラスケス(1599〜1660)
その黒を基調としたカンバスはスペインならではのものであろう。単なる宮廷肖像画の中に神話を挿入するという彼の手法の集大成とも言える晩年の傑作「ラス・メニナス」。その構図は複雑である。王とお妃の肖像を制作中の画家、ベラスケス、そしてやはりその場を見守る王女とそのお付きの者、王とお妃の姿は遠くにある鏡の中に映るのみ、鏡を通して自身や登場人物を描くのはすでに15世紀、フラマン派のヤン・ファン・アイクの「アルノルフィーニの婚礼」の絵で有名だ。この絵は15歳のピカソに圧倒的印象を与え、彼は後に「ラス・メニナス」を主題とした絵を何枚も残す。 ずっと昔にプラド美術館にいったときはゴヤやボッシュに気をとられており、あまりベラスケスに注意を払わなかった。遺憾である。「ラス・メニナス」でのベラスケスの筆のタッチや深い色彩、実物にて堪能したいものだ。
今年は秋からロンドンのナショナル・ギャラリ−にて
ベラスケス展が開催されるので、楽しみにしている。

P.S. このバトンは私流ですので、バトンを受けたい方は上記のカイエのlapisさんのブログへどうぞ。

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by jamartetrusco | 2006-05-17 18:30 | Arte (芸術)


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