トスカーナ 「進行中」 In Corso d'Opera

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2006年 05月 28日

デンマークの陶芸家 Bodil Manz

Bodil Manz、彼女の自宅兼工房を訪れるのはこれで2回目である。コペンハーゲンの中央駅から電車に乗って2時間弱、なだらかな風景が広がる。海まですぐの平野地帯である。駅まで車で迎えてくれ、彼女の家へと向かった。


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住まいは19世紀の地元の小学校を買い取り改装したもの。また工房はその学校が1920年代に増築した際の建物である。コペンハーゲンでは窯を持つだけの適当なスペースがなかなか手にはいらなかったのと、この地域は当時から空が高く光りが美しいとのことで、画家が好んで移住する場所だったことなどから、家探しの対象となったという。そしてこの元学校と出会った。建築家であり陶芸家でもあったご主人とふたりで築き上げた城である。ご主人のリヒャルドは1998年にまだ65歳の若さでなくなってしまった。彼女の工房を初めて訪れたときはまだその悲しみの余韻で寂しそうだった彼女を記憶している。 

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家に入ると古い陶器製のストーブに火がともされていた。さすがに寒い国デンマーク、暖房以外にこのストーブも大活躍している。彼女曰く「普通は5月1日に暖房を消すのが通常なのだけれど、今年はまた今日になってつけてしまったわ。」

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ボディルはデンマーク陶芸界を代表する作家である。美しい筒の形体は一目で彼女の作品とわかる。透けるように薄い磁器ならではの肌合いと器の内部と外部にアシンメトリカルに施された意匠は中と外の空間の接点となり、緊張感のあるバランスをみごとに達成する役割を果たしている。ときにはモノクロでときには色彩豊かに。モンドリアンに代表されるオランダのデ・シュティル派やロシアの構成主義などの影響も感じさせる意匠である。筒の形のみ制作する理由は一番ニュートラルな形であるから、だそうだ。形体の主張を避けたい意図であろう。ボディルの器はそこにあるだけで周囲の空気を浄化してしまうような透明感がある。
彼女は大の日本びいきでもある。日本へも数回訪れており、また美濃の国際陶磁器コンクールでの受賞経験もある。


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彼女の工房の2階にはデッサンをしたり、構想を練る作業台があり、
そのそばには日本の伝統的門構えや竹の壁などの写真がモザイクのように一枚の額となって置いてある。そして参考となる様々のポストカードも重要な着想の源であろう。作家の工房は置いてある本や小物でその作家の頭の中の興味が半分ほどわかるようだ。


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そして絶対に手放したくない思いでの作品のおさめられたショーケース。ご主人や自分の昔の作品群。これもとても魅力的だ。


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今回は最新作を見せてもらった。5つほどのサイズの違う筒形。同じ筒形なのに、サイズの大きさによってまた違った表情が生まれてくる。

お昼の後、海のそばまでドライブしてくれた。遠方に見える島をさし、あそこにも夏にときどき行く家があるの、そして静かに仕事をしたいときに使っているわ、と話してくれた。
一人では淋しいような住まいではあるが、スカッキという愛犬が最良の相手をしてくれる。また建築家、グラフィックデザイナー、家具デザイナーとアートの道をそれぞれ歩む3人の子供たちも彼女の誇りだ。

2008年の2月からコペンハーゲンのデンマーク工芸美術館にて回顧展も控えている。今まさに仕事ざかり、絶好調のボディル。あいにく小雨の降り、涼風の吹く春とは思えない日であったが、今度訪れるときは光の美しい日であってほしい。

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by jamartetrusco | 2006-05-28 22:26 | Arte (芸術)


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