2006年 06月 19日
昨日夕方、フィレンツェに白石かずこさんが到着した。ジェノバにての詩のフェスティバルへの招待参加を終え、19日、夕9時よりフィレンツェにて開催されるpoetry readingの会のためである。 白石さんは私の長年の友人である。もともと姉のロンドンでの親友(私も家族ぐるみの付き合いであるが)のお母さんとして紹介を受けたが、友人のお母さんとは言え、それ以上の友達としてのおつきあいをさせて頂いている。知り合って早や25年。その当時ロンドン在住であった私は 82年の夏、姉、そしてかずこさんの娘さん夫婦、そしてかずこさんとその男友達とともにギリシャのクレタ島にて夏の休暇を過ごした。その時の経験と思い出はいまでも鮮明に心に刻まれている。クレタの体験がかずこさんの詩にも登場している。魚のフライを1キロ単位でオーダーした地元の飾り気もないが何を食べても頬がおちるほど美味しかった食堂を題材にした「ワンキロ・フィッシュ・ビーチ」や広大なる肌か山の頂上に生息していた山羊の群れを詠った「マウンテン・ゴート」などはこの旅から生まれたものだ。 経験が詩人の口から語られると美しく新たな想像の門戸を開けてくれる。 そしてその人柄の暖かさ、人間の本性や現実を本能的に理解してしまう。それ故生まれる真の優しさを持ち合わせている素晴らしい女性。 白石さんは1931年カナダ、バンクーバー生まれ。 二十歳で詩集『卵の降る街』を出版して以降、『聖なる淫者の季節』(H氏賞)、『砂族』(歴程賞)、『現れるものたちをして』(高見順賞、読売文学賞)、『浮遊する母、都市』(土井晩翠賞)など数々の詩の名作を書かれている。70年代以来、三十数カ国の世界詩人祭、作家会議に招かれ、詩の朗読、講演を行ってきて、現在でもまだそのエネルギーは絶えることがない。 彼女の朗読会は普通一般の想像する詩の朗読とは少し違う。ときにはジャズ・ミュージシャンとの競演、時には日本の前衛舞踏家と演劇的に、衣装も詩に合わせてカラフルに替える。日本、そして世界の詩の舞台に登場した頃、髪をピンクに染めてその美貌と抜群なるカリスマ性にて詩人世界を圧倒した。そして彼女の朗読する声は口からではなく、お腹の底から発生している。能楽の謡の声に近い。だからお腹に響いてくる。 Dedicated to the Late John Coltrane (ジョン・コルトレーンに捧ぐ) 白石かずこ / インディペンデントレーベル ISBN : B0002LHWO4 彼女の詩、「ジョン・コルトレーンに捧ぐ」はジャズ・ミュージシャンの大御所のサム・リバーズらとの競演なるCDとしても発売されている。サクソフォーンやフルート、パーカッションの音とともに唄う彼女の詩は一聴の価値ありだ。 ビートジェネレーションの息吹を受けた現存する最後の詩人であると言える。 続・白石かずこ詩集 白石 かずこ / 思潮社 ISBN : 4783708924
by jamartetrusco
| 2006-06-19 14:40
| Libri (本)
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