トスカーナ 「進行中」 In Corso d'Opera

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2006年 08月 03日

植物世界のアートフォーム

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ロンドンのヘイワードギャラリーにて開催されていた“Undercover Surrealism"展。
1920年代後半のパリにおいて前衛芸術運動の主流となっていたのはシュールリアリズムである。
この運動の主軸となったのは1929年から30年にかけてジョルジョ・バタイユが発行したDOCUMENTS(ドキュメンツ)という雑誌である。西欧文明の持つ価値観を根底から問い直し、プリミティブ、儀式的、大衆的文化を見直そうという革新的な視点をもっていた。シュールリアリズム運動を有名作家の作品展示ではなく、コンセプトの土台の部分からの切り口で展観する地味ではあるが、なかなか興味深い展覧会であった。

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この展覧会で最も印象に残ったのはドイツ人の彫刻家であり美術講師であったKarl Blossfeldt(カール・ブロスフェルトと読むのだろう)による植物写真。自身の彫刻制作の模範や授業のための資料として撮影した写真だそうだが、その超越した美しさに目を奪われた。
1928年に出版された「芸術の原型」という出版物によりその画像は初めて人々の目にとまり、あっという間に写真界のセンセーションとなる。この原本を改訂再出版したのがこの本である。
時代が時代なのですべて白黒によるイメージで植物の細部を厳粛に写し出す。彫刻家としての彼の視線は植物の持つ様々な形体を再発見し、そしてひとつの芸術形体へと昇華させていく。自然の抽象形のエキスを抽出しているかにみえる。建築物のような形体、複雑幾何学形また流水形、など植物に潜む形体のバラエティー、自然の創造物の驚異と美が直裁に、感傷性なし、露にされる。
先日海で発見したウニの殻といい、自然界の神秘と美は底なしである。


本の原題は 以下です。
ART FORMS IN THE PLANT WORLD
120 Full-page Photographs
Karl Blossfledt
Dover Publications , Inc.
1985 New York


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by jamartetrusco | 2006-08-03 21:24 | Libri (本)


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