トスカーナ 「進行中」 In Corso d'Opera

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2006年 08月 12日

百味菜々

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「百味菜々」という料理の写真集、私の大事な蔵書の中の一冊である。
まだイタリアに渡る前、ロンドンから帰って4〜5年東京の実家に戻って暮らしていた時期がある。90年代初めのこと。建築家の友人が青山にすごく素敵な店があるから行こうと誘ってくれて一度だけお邪魔した。店の名は「百味存」。今ではどうやら伝説の店と言われているらしいから、なんとわたしは貴重な体験をさせてもらったのか、と今更ながら友人に感謝。
基本的に野菜が主体の京料理である。しかしその味たるやもう今まで一度も味わったことのないような微妙でそれぞれの食材の良さを活かした想像を絶する美味しさであった。そして盛られた器も素晴らしかったと記憶している。あまりにも感激したのでさっそくお店で売られていた、このお店の料理人たる横山夫紀子さんの拵えで撮りは写真家の秋元茂氏による料理の写真集を買って帰った。


f0097102_1485182.jpgf0097102_149429.jpgこの本はしかし単なる料理本ではない。京都出身の横山さんのだしを重んじた、野菜それぞれのうまみを最大限に出す、いかにも粋な京料理の数々が写真となっているのだが、その野菜の姿が超越している。美味しそう!という奇声の前にその美しさに感動するのである。



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そして器にも拘りがある。章の中に「ルーシー・リーに盛る」、と「魯山人に盛る」、があるのだが、この全く違うタイプの焼き物になんとうまく料理があっていることか。
ルーシー・リーはオーストリア生まれ、その後ナチ時代に英国へ移住、以来イギリスにて現代陶芸の先駆者としてあまりにも重要な位置を果たした作家である。彼女とその同胞のハンス・コパーについては別の機会に書こうと思っている。

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そして魯山人と言えば焼き物に多少でも通じている方なら耳にされたことがあるだろう。やはり京都生まれ、そして料理への情熱のあまり盛りつけるために自身で焼き物を制作してしまった、という。感性豊かで、自由奔放、魯山人ならではの焼き物は独特の個性がある。

器プラス食、形と色、色と形、その調和の素晴らしさはまさに焼き物、食のふたつの要素の集大成とでも言えようか。互いに本望じゃという声が聞こえそうである。

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百味菜々
横山 夫紀子 秋元 茂 / コエランス
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by jamartetrusco | 2006-08-12 01:55 | Libri (本)


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