トスカーナ 「進行中」 In Corso d'Opera

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2006年 09月 25日

モジリアニ再評価

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ロンドン、ロイヤル・アカデミーにて"Modigilani and His Models"「モジリアニと彼のモデル達」という展覧会を開催していた。モジリアニは今まであまり好きな作家の範疇になく、まあせっかく開催されているから見てみようと入ったのである。しかし思いがけず素晴らしい展覧会でモジリアニの力量を再発見した。

アマデオ・モジリアニ、Amadeo Modigliani (1884~1920)はトスカーナの港町リボルノ生まれのユダヤ系イタリア人である。フィレンツェ、ヴェネチアにて学んだ後1906年にパリに渡る。
結核をわずらい、過度の飲酒と薬物使用に健康を侵された生活を波瀾万丈に生き抜き35歳の若さで亡くなるまで肖像画を数多く残した作家である。

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1910年代のパリのモンパルナス地区は世界からの芸術家、音楽家、作家、ボヘミアン気質に溢れる活気に満ちた芸術環境を作っていた。近代芸術の展開を担う重要な時代であり、場所である。モジリアニは当時のパリのカフェで出会う女性達や限りない彼の愛人且ミューズをモデルにした肖像画や裸体女性像、そして彼を囲む人物達(モジリアニの人生に欠かせない友人であり美術商のゾボロフスキーを初め、健康回復のため少し滞在した南フランスの庶民など)の肖像を描いている。モジリアニの肖像というと首の長い、線の細い感じの人物像という印象が強かったのだが、今回の展覧会のモデル像を見ていて、その色使いのうまさと眼差しから来る微妙な表情の個性に感心し、セザンヌのそれに近い「絵画的」な平面のダイナミズムを感じた。

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そしてそのかなり細長くデフォルメした人物像はどこかイタリア、マニエリズムの画家達、ポントルモやパルミジァニーノを想起させる。穏やかとはほど遠い生活をしていた作家による激しい表現はそこにはなく、どこか奥底に秘められた憂鬱が表れているようにも思える。やはり若くして亡くなったエゴン・シーレの憂鬱に通ずるような。

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画家というイメージの強いモジリアニであるが、もともと彫刻家を目指していた。1909年のブランクーシとの出会いに触発されて石の彫刻を手がけ、25点の彫刻作品を残している。ほとんどが石灰岩材の頭像。
そしてこの頃彫刻に関連したcaryatid (女性人柱像)のデッサンや絵画を制作している。この初期の一群のモジリアニの作品はシンプルで力強い線と量感があって私は特に好きである。
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当時のパリがアフリカやアジアの原始的,根源的な芸術を発見した時期であるので、その影響もあるだろう。この抽象化された人間を超越したような静かな眼差しの頭像。どこか仏像にも近い精神性があるような気がする。

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by jamartetrusco | 2006-09-25 19:22 | Arte (芸術)


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