トスカーナ 「進行中」 In Corso d'Opera

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2006年 11月 06日

サン・ロレンツォ市場と錦市場姉妹提携

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11月3日、フィレンツェの中央市場、サン・ロレンツォ市場内にて、フィレンツェのサン・ロレンツォ市場と京都の錦市場との姉妹提携の調印式が行われた。これは同日やはり調印がかわされたトスカーナ州と京都府の姉妹提携の一貫である。フィレンツェ、京都が姉妹都市提携して今年で41年目。そして今年、州と府とのあらたなる姉妹提携。それに準じて両都市の食文化のシンボルである市場同士の提携が実現した。

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それでは具体的になにができるのか。フィレンツェにては京都の食材や食文化の発信があり、それと呼応して京都にてはフィレンツェの食材や食文化の紹介をする、という相互促進事業である。常にそれぞれの市場にてスタンドを持ち食材を売るという具体的な商業政策なのかどうかはわからないが、食文化イベントを将来様々な形で企画するプロジェクトとなり得るであろう。「食」という重要な生活文化の紹介促進をフィレンツェと京都がそれぞれに担うというのは従来の「〜フェア」という一時的な企画にとどまらず奥深く理解を極めることのできる可能性があり、興味深い歩みよりである。うまく展開すれば庶民レベルでのカルトを創造することも可能である。

しかしどうだろう。ひとつの問題は両都市、いや両国の理解のレベルの落差が大きいことだ。日本のイタリアへの興味、知識、好奇心、そしてイタリアの食文化への思い入れはこの数年目覚ましいものがある。それがいかに表面的なものであるにせよ。錦市場でのフィレンツェ食文化の展開が人々の感心を惹くことは間違いない。

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しかしイタリア側の日本に関する知識は微々たるものである。イタリア人の日本訪問者数とその逆とでは膨大な違いがあるはずだ。そんな中でフィレンツェの市場にて京都の錦市場の何が紹介できるだろう。食材を使いこなせる人がどれほどいるだろう。最近の健康食ブームからの寿司ブーム、Sushiという言葉はもう当たり前のように普及している。この日も寿司とお酒が振る舞われた。イタリアにはわかりやすい食の紹介ではあるが、寿司は京都のシンボルではない。そしてニュー・エージの延長線である、ミニマルな室内空間や生き方のファッションとしての"Zen"という言葉をちらほら見かける。しかしこれぐらいでは真の日本の文化の理解とは言えない。これはイタリア側だけの責任でもなく日本が自国の歴史、文化の紹介の努力を対イタリアにはあまり行ってこなかったという事実でもある。

より一般的な話としてはイタリアのマスコミの責任もある。日本の紹介のなんと偏ったことか。日本に関するニュースで耳にするのは奇異な事件があったり、というときのみであるし、また不可思議な国というイメージをことさらに語る紹介記事が多い。余談になるが、私の怒りの一つはイタリアのマスコミは自爆テロの行為を表すのに“Kamikaze"という言葉を使うことである。神風の歴史背景も知らずに現在の自爆テロに同義としてこの言葉を無神経に使用するこのジャーナリズムには腹が立つし、またこういった間違った言葉の使用に対して一言も文句を言わない日本政府も信じがたい。(大使館もあるのだし、抗議する方法はいくらでもあるでしょう)

京都とフィレンツェはそんな両国の状況の縮図であるのだが、それでもこの二つの都市はその街の歴史や地理の共通項から交流に努力を注いでいる。
特に両都市の交流に尽力をおしまないのは、地道であり、経済的にもあまり報われることなくとも、それを敢えて引き受け両国の架け橋としての大切な仕事をし続けている個人レベルの人たちである。私の京都の友人などはその一人だ。京都府や京都市との協力のもとにもう20年このような仕事を続けている。その都度の困難を乗り切りながら。その素晴らしい情熱とエネルギー、もうただただ感服するのみである。
錦市場でのアート・プロジェクトに限らず過去にすでに様々の京都、イタリアの文化発信を試みてきた。今後もまだまだ面白い展開をみせてくれるだろう。文化の紹介は大変な努力と時間が必要である。この市場提携が今後あってなきにしがごとしにならずに少しづつでも京都の、果ては日本文化の真の表出の機会となってほしい。

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by jamartetrusco | 2006-11-06 21:46 | Paese (土地柄)


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