2006年 11月 18日

自然の断片ー写真でみる「黄昏」展

とりたててその美しさを主張するのではないが、なぜか目にとまる自然の断片。
ロンドンの旅よりいくつか。
飛行する空高くから鳥瞰図に見る山脈。
雲が手に取るように眼下にある。
空気が何層の色にも見える不思議。ここはもうスイスか。

テームズ川沿いで水のしぶく音がした。
下を見れば淀んだ水に黄褐色の落ち葉が
寄せる波に戯れる。 

深紅の実をつけた紅葉の木。
極めて自信たっぷりに冊の背後にどっしりと立っていた。

雲に被われた黄昏の空。もうほとんど夕闇になりかかる寸前の
陽炎のような、むらむらの光。


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ところでV&A美術館にて実に美しい展覧会を観た。
"Twilight"と題する黄昏をテーマにした写真展である。
「黄昏」を主題に現在活躍する6人の写真家のそれぞれの黄昏解釈である。
黄昏がもつ魔術と幻想と緊張感を6人独自の表現にて表したものである。
会場全体がブルーの光に被われて雰囲気はすでに黄昏である。各作家の作品が暗闇から
一筋の光のように浮かび上がる。

特に印象的だったのはオーストラリアのBill Henson (ビル・ヘンソン)、フランスのChrsytel Lebas (クリステル・ルバ)、アメリカのGregory Crewdson (グレゴリー・クルードソン)、 ウクライナのBoris Mikhailov (ボリス・ミハイロフ)の表す「黄昏」。


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グレゴリー・クルードソンはいかにもアメリカの風景。まるで舞台装置のような時間の静止した平面の風景。そこでは主人公は光の及ぼす効果である。




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ビル・ヘンソンの写すイメージはまるでカラヴァッジョの絵画を見るかのように、明暗の美そのものである。写実そのものでありながらまるで夢の中の映像のように幻想的、超現実的である。



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クリステル・ルバのテーマは森である。黄昏の森をさまざまに映し出すAbyss「深淵」のシリーズ。フランス語で黄昏のことを「犬と狼の間」と呼ぶそうだ。日常が危険をはらんだ魔性に変わる時、という暗喩だろう。 まるで伝説の森、神話の中の森のようだ。




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ボリス.ミハイロフの「黄昏」はソ連崩壊後のどこか憂いを感じさせるごく普通の人々の日常にある黄昏。すべてが青色のベールに被われた淋しげな悲哀あふれるイメージ。黄昏を通してのひとつの社会ドキュメンタリーを万華鏡のように見せてくれる。
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by jamartetrusco | 2006-11-18 00:00 | Natura (自然)


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