2006年 12月 03日

古き知己との再会

f0097102_1901692.jpg


Panzano in Chiantiはグレーベから9キロ程シエナよりにある500メートルほど高台にそびえる古い城塞の町。
周囲は誰が許可するのか甚だ嘆かわしいことだが、見るも安普請の新興住宅群が続々と建ってしまっているが、歴史的地区(Centro Storico)は昔のままの趣きを残して美しい。そしてこの町の眼下には通称La Conca d’Oro(黄金盆地)と呼ばれるキャンティワインの生産に最適とされる地形、地質、日当りのある葡萄畑が全面に広がっている。夏は観光客に満ち、アグリツーリズモの宿も多い。
フィレンツェ出身のデザイナー、ロベルト・カヴァッリもこの辺りに屋敷を持つと聞く。

30年程昔、このキャンティ地域一帯がまだ今のようなワインブームやアグリツーリズモなどなく、石造りの田舎家も二束三文で買えた時代に、外国人(主にドイツ人)やナポリの人々が多く入植してきてこの地近辺に住み出した。アーティストや音楽家、作家などなど芸術に携わる人々やこの地に移り、古びた家を自身で改装して、なんとか職をなすような気骨に満ちた人々が多かった。すべてにおいてarte d’arrangiarsi —うまくやり抜ける技—に長けているナポリの人たちはここにて様々な仕事につき、この地にいる外国人と出会う。ナポリ人と外国人とのカップルを私たちも数多く知っている。よそ者はよそ者同士理解しやすく交流しやすい、という典型が今でも生きるキャンティ地方。地元の人対よそ者の構図はこの地ではしっかりと根ざしていて、よそ者である私も主人もこれは肌で実体験してきた。

パンツァーノはそんなわけで古き中心地区にはナポリの人の経営するレストラン、ワインバー、知り合いのナポリ人画家カルミネのスタジオ兼店、ドイツ人女性の友人カーリンの経営する不動産屋Chianti & More、オランダ人の女性陶芸家の工房兼店など国際色豊かである。そしてこの辺りではもう主である手作りの革靴の店を始め経営するファジャーニ(Carlo Fagiani)、そしてかなり前からキャンティに住み、その後点々と場所を変えながら再びパンツァーノに移り住んでいるドイツ人の画家ニコラウス(Heinrich Nicolaus)がいる。

f0097102_18552148.jpg


f0097102_18562861.jpg

このファジャーニとニコラウスは私たちも12年前にキャンティに移り住んで以来知己があり、皆多かれ少なかれアートに足をつっこんでいるのでどこか互いの行動が気になりながらも、あまり深入りのしない友人であった。そんな彼が画家ニコラウスと監修することとなったアートスペース、「リモナイア」。
レモンの植木を保存するために使われていた建物のことをイタリアではLimonaiaと呼び、大きな屋敷などには必ず存在している。大きさはその屋敷に見合って大小あるが、我が大家さんなどは小型アパートに改装して人に貸している。そして去年パンツァーノのリモナイアはトスカーナ州によって展示空間と成り代わった。去年の7月にはFesta degli Artisti (アーティスト祭り)を企画したという。リモナイアの前の庭にてアーティストを含める大勢を招いての夕食会のオープニング、3日間の祭りであったそうだ。現在はTusciaElecta2006の一貫の作家のグループ展が開催されていた。

f0097102_18555096.jpg


つい先日アレはファジャーニとたまたま再会した。
ファジャーニが靴の店を開店し成功し始めた2001年の3月、私と娘は京都に行っており、一人こちらで法然院の4月末の展覧会のために作品制作中のアレのスタジオを訪れ作品を見ていったいきさつもあり、ファジャーニからこのリモナイアの話があり、アレに展覧会を持ちかけて来た。
まるで偶然とは思えない新たなる再会。昨日スペースを見に行ったが、ちょうどニコラウスも居て彼のスタジオ兼自宅も訪れた。入り口にはMOMAPとあった。Museum of Modern Art Panzano. 彼の洒落が感じられる。

来年はこのリモナイアにてなにか出来そうだ。人と人とのつながり、そしてそこから生まれる「何か」、人生はそれしかないように思う。


f0097102_1857210.jpg

[PR]

by jamartetrusco | 2006-12-03 19:03 | Vita (人生)


<< ホックニーもどき      ルネッサンス期イタリアの人々の... >>