トスカーナ 「進行中」 In Corso d'Opera

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2006年 12月 10日

聖母受胎の日ーPresepio

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12月8日はイタリアの祝日、Immacolata Concezione というカトリックの教義でいわゆる「聖母受胎」の祭日である。原罪のない聖母マリアに御子が宿る日を祝う日である。伝統的にはこの日にクリスマスツリーやプレゼピオーpresepioーを家に飾るのである。 プレゼピオというのはキリスト降誕を表した模型であり、一般には小さな人形を使って馬小屋で生まれるイエズスを囲んで聖母マリア、ヨセフ、そしてろばや牛や羊飼いが集まり誕生を祝う風景を表すものである。
凝ったものでは夜明けから夕暮れまでの光の移り変わりまで再現し、風俗画のように生活し営む人々の様子も再現する。家や山野原の効果も取り入れ、子供達にはわくわくするような小さな町の模型である。

Presepioの言葉はラテン語のpraesaepeで意味は馬槽のこと。赤子のキリストが眠る馬槽である。カトリックの国ではもともとこのプレゼピオがNatale(クリスマス)の装飾として一般的であったが、最近では町や家庭の装飾にもクリスマスツリーが圧倒的に増えている。まだ伝統的な南イタリアではプレゼピオを飾るところが多い。
ナポリのプレゼピオは特に18世紀以来その職人芸で有名である。クリスマス前のこの時期、町のSan Gregorio Armeno通りはプレゼピオの人形を売るスタンドで溢れる。プレゼピオの伝統を見るならここが一番であろう。

このプレゼピオの歴史を辿ってみると実は以外と古くエトルリア時代まで遡る。もともと亡き先祖を象った蝋かテラコッタでできたsigillum(シンボルや画像の意)と呼ばれる人物像を家の祭壇に置いて家族の安泰と繁栄を願うという風習から生まれたらしい。そしてNatale(クリスマス)が近づくと子供達が家長の家に集まり、この像を磨いておのおの好きなように田園風景を表した囲いに置く。そしてその前に食物とワインを入れた小鉢を置いて家族全員で祈りを捧げる。そして次の朝この小鉢に先祖からの贈り物である菓子やおもちゃが置かれている。
ローマ時代になってカトリック宗教がこの祭りを自分たちの教義に置き換えて今のクリスマスの祭事となったということである。
こうしてみるとわれわれ日本人の仏壇にご先祖さまの位牌を置き、おもりものを捧げ祈る、という風習はほぼエトルリアのそれと同じであることがわかって面白い。
要するに人間の本能として先祖を守り神として奉りすべての安泰を祈るというのが自然の摂理であり、宗教はその上にかぶさっているだけなのであろう。

イエズス降誕の後1月6日にイタリアではさらにEpifaniaという祭りがある。キリスト誕生を祝って東方から3賢人が見舞うその日である。エピファニアの晩には魔女のような風体の老婆Befanaが良い子の靴下一杯にお菓子を贈り、悪い子には炭(炭の形をした菓子)を贈るのである。クリスマスの贈り物を靴下に入れておくという風習も実はここから来たのであろう。世界の多くのキリスト教国ではこのふたつの祭りがひとつのなってクリスマスとされている。しかしカトリック本国イタリアではNataleとBefanaは別物である。24日の晩と5日の晩の2度にわけで贈り物を心待ちにするイタリアの子供達は幸せである。
子供達なら皆知っているこんな歌も残っている。

La Befana vien di notte                           
con le scarpe tutte rotte                         
col vestito alla "romana"                         
viva viva la Befana !!                             
Porta cenere e carboni                            
ai bambini cattivoni                                 
ai bambini belli e buoni                              
porta chicchi e tanti doni !
 ベファーナは夜やってくる。
 靴はぼろぼろ。
 ローマ風の装いで。
 万歳,万歳、ベファーナ!
 悪い子には灰と炭を、
 良い子には
 たくさんのお菓子と贈り物を!

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さて我が家は折衷派で、通常クリスマス・ツリーもプレゼピオとも飾ってしまう。ツリーの華やかさはクリスマスの象徴として捨てがたいし、小さい頃から我が家でもツリーを飾るのは恒例であったのでその伝統が生きている。イタリアに来てからはアレの小さい頃から使っていたプレゼピオがあり娘が生まれてからはプレゼピオを飾ることも習慣になってきた。自分たちで作っていく生誕の風景は子供心に訴える何かがある。

今年は年末年始と日本に帰るのでツリーは飾れない、ということで何も飾らないのではやはりどこか淋しいのでプレゼピオだけ飾ることにした。
場所がないので、小さな台の上、やや手狭であるが、ありったけの人物や動物達をのせた。

本来は赤子イエズスは24日の深夜を過ぎてから置くのがしきたりである。教会などのプレゼピイオはすべてそうだ。

光が灯るといよいよクリスマス季節の幕開けである。

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by jamartetrusco | 2006-12-10 00:03 | Paese (土地柄)


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