トスカーナ 「進行中」 In Corso d'Opera

jamarte.exblog.jp
ブログトップ
2007年 02月 09日

撫牛と撫猪

f0097102_22182581.jpg



京都の北野天満宮、この季節はの芳香で境内が満ちる。また月一度の骨董市は訪れるのに楽しい。個人的には東寺の骨董市より規模もちょうど良く見やすいので好きだ。

さて、この境内には臥牛の像がいくつもある。自分の体調の悪い部分を撫で、そして牛の同じ箇所を触ると治療できるという開運縁起のこの牛を「撫牛」と呼ぶ。

f0097102_22184622.jpg


f0097102_22464423.jpg


石の種類の違いも牛の姿に変化を与えて面白い。臥した牛の像のあちこちを触っていく人々。我々もその例外にもれず今年の暮れに撫牛を触ってきた。特に頭をしっかり。そして恒例の大福梅も買って帰った。

天満宮は菅原道真を奉ることでも知られる。醍醐天皇反逆の罪で左遷され不遇なまま亡くなった雷神(天神)道真の怒りを沈めるために、火雷が祀神であった北野に建てられたのがこの天満宮である。天神と牛。水神である牛と雷神。雨(水)を降らす雷神、両者は切っても切れない深い関係である。

牛乗り天神の浮世絵
歌川芳虎 元治元年(1864)1月 大判2枚続
f0097102_2219276.jpg


撫牛信仰というのは江戸時代から盛んにあったそうで、東京では墨田公園にある牛嶋神社の撫牛が有名だ。本来は撫牛の小さな像を布団の上に置いて毎日撫でて吉事を願う風習だったそうである。

京都から飛んで遥かフィレンツェへ。
東は撫牛に対して西は撫猪。
今年は亥の年であるのでそれにちなんで。

f0097102_2219481.jpg


フィレンツェのLoggia del Mercato Nuovo, 別名Loggia del Porcellino (子豚のロッジャ)に鎮座するブロンズの猪像。この市場は今では観光客向けのみあげもの屋の巣となってしまったがその昔は絹や宝飾類などを売る市場であった。現在のレプブリカ広場がMercato Vecchioー「旧市場」と呼ばれていたので、それと区別するためにMercato Nuovoー「新市場」と名付けられていた。
その端にこのFontana del Porcellino (子豚の噴水)がある。呼び名は子豚と言うものの実際は猪である。
オリジナルは17世紀初期の彫刻家ピエトロ・タッカの作でピッティ美術館に保管されており、ここにあるのはレプリカである。オリジナルもしかしウフィツィ美術館蔵のヘレニズム期の大理石の銅像を模写したものだ。
この猪もやはり同じく縁起担ぎの意味を持ち、この猪を撫でると幸運を呼ぶと言われている。
故に、長年にわたり撫でられて鼻の上がつやつやである。この縁起担ぎを全うするためには鼻を撫でた後に猪の口の中に金貨を入れその行方を追わなければならない。この金貨が水が流れ落ちる排水穴の向こう側に落ちた時に初めて幸運がもたらされる、とのことである。
いかにも商人の栄えた町フィレンツェならではの話しである。
そういえば京都の祇園にある十日恵比寿神社もお金を恵比寿さまに向けて高々と投げる。

時代を変え国を変え、人間の考えること、信じること、皆似たるものなり。
やはり近しい動物神、自然神、先祖神、などへの信仰が人間にとっては真実であり、また健康的なのである、とつくづく思った。
そのような太古の信仰心が組織された宗教に変貌するとき戦争が起こりそして悲劇が始まるのでは、と思う。
[PR]

by jamartetrusco | 2007-02-09 22:29 | Paese (土地柄)


<< エトルリア人の宇宙観      いつからか存在する石壁ーエトル... >>