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2007年 03月 01日

ミュンヘンの旅 その1− Dan Flavinの回顧展


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ミュンヘンへは10数年ぶりの2回目の訪問。
このバイエルン王国末裔の町の3つのピナコテーカの存在に驚嘆する旅となった。特に圧巻なのはAlte Pinakothek Pinakothek-der-moderneの2館である。前者は14世紀から18世紀までのヨーロッパ美術、後者は現代美術のコレクションである。この真ん中に18世紀から19世紀にかけての美術を見せるバイエルン国王ルードヴィッヒ1世の創設したNeue Pinakothekがある。

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多くの充実した美術作品との出会いのあったミュンヘンの旅。
まずは現代美術館にて現在開催中のダン・フラヴィン回顧展
ダン・フラヴィンという作家はネオンを使った一連の作品で有名で、世界の現代美術館に行くと必ず一点や2点はお目にかかるアメリカのミニマリストの彫刻家である。1996年には亡くなっており、この展覧会はドイツでの初めての回顧展である。

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ミニマリズムの代表的作家と言えば絵画では初期のフランク・ステラ、アド・ラインハート、ソル・ルウィット、アグネス・マーティン、彫刻ではドナルド・ジャッド、カール・アンドレ、リチャード・セラなどなど。色や素材を重視し派生的な表現を省いた限りなく無に近い表現と言えようか。
一時期一世を風靡した現代アートの一傾向である。

このところミニマリズムはやや食傷気味であり、あまり熱を入れずに観ていたのが事実である。特にダン・フラヴィンというとネオンの光が目に痛くゆっくり観賞したい気分の作品でもなかったのであっさりと通り過ごしていた作家であった。
ところが、である。今回の回顧展でその作品を広範囲にわたり展観し、その作品の力と美しさに感嘆。単なるネオンの光を組み合わせた作品にも関わらずその光と空間の構築が素晴らしい。人工光の色彩の効力に新たな発見をした。

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ロシア構成主義の代表作家であるウラジミール・タトランに捧げるモニュメント。(上画像左奥)ニューヨークのアールデコ建築の頂点とも言えるエンパイヤービルやクライスラー・ビルの華やかさと光彩を放っている。シンプルな白ネオンに引き込まれる。また展示室をまるごと使ってのインスタレーション。緑、青、赤、それぞれの光の持つ異なる神秘性を体で感じた。
間接光の美しさや夜のネオン溢れる町が魅力的なのも人間の根源的な本能へのアピールか。
彼の作品はモノトーンである方が力強い。違う色を2色以上組み合わせると説得力をやや落とすようである。
それにしてもダン・フラヴィンはよくこれだけネオン漬けの人生を送れたものである。作家の執着心というのは実に超人的である。

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ところで今回の展覧会で思ったのは、一人の作家の意図するところを真に理解するためにはやはりたくさんの作品をみる必要があるということ。ひとつやふたつの作品ではその作家のエネルギー、思考体系、哲学、美的構築など理解するのは難しい。
少数の作品のみ見てある作家を判断するの間違っていると改めて思った。


何かを作り上げるという作業にはなみなみならぬエネルギーとインスピレーションの上下左右の広がりとそして過程から完成に導かれる必然性があるのだろうから。
抽象画を見てこんな絵は誰でも描ける、という発言はことさらに間違っているのである。


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by jamartetrusco | 2007-03-01 00:26 | Viaggio(旅)


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