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2007年 04月 23日

Artificial Paradise - 人工の楽園

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アンドレア・マリーニはフィレンツェ出身の彫刻家である。夏のEEA21の展覧会に出品するイタリアからの作家としてアレとともに選ばれた一人である。
そろそろ作品発送の手続きもしなければならない由もあり、先日彼のスタジオを訪問した。
フィレンツェからやや車でプラート方向に行く手前の産業地帯の倉庫を借りてスタジオに
している。

彼は自分を「彫刻家」と呼ぶより"Costruttore",「形作る者」と説明するのを好む。
確かに彼の作品は自然の素材から形を彫り起こしたりするのではなく、人工素材を使って
ゼロから形を作り上げていくものである。

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彼の作品は自然に見いだされる有機的形体を明らかに喚起させる形を自然とは正反対な人工素材でもって再構築するものだ。
生き物の形、植物、鳥の巣、卵、などなど。有機的な形、柔らかに孤を描く形、生まれたての胎児のような生命形ーそれらがファイバーグラス、ポリエチレン、鉄線、アルミニウム、鉛、などなどの人間の作りだした人工素材によって形作られる。

この人工サボテンの群、面白い。家の片隅に置いておきたいオブジェである。

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自然と人工の対比と不協和音が彼の魔術によってあたかも自然の形而上下の象徴のように見えるてくるである。
自然を限りなく慕う心がなければ生まれ得ない不思議な人工の楽園。

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彼のまた凄いのはすべて自身の手で作ることである。近頃の多くの大規模作品の彫刻家達が作品の考案のみを担当して実際に製作するのはそれ専門の工場、職人さんたちという
時代。ルネサンスの工房とも違う。工房は少なくともマエストロが自身で監督し、助手を育てて行く仕組みであり、単に仕事を発注するという現在の仕組みとは根本的に異なるだろう。
この巨大な鉄線の怪物もすべて手に軍手をはめて巻いて行ったという。それは大変な作業だった、手が最後にはきかなくなって傷だらけだったよ、と苦笑していた。

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使用する人工素材と対する製作の厳しさ、想像するにやさしい。しかしそんな仕事とは
うらはらにアンドレアはまるで森林にて木こりをする自然人のような人柄である。
自分の生んだ落し子が遥か日本まで飛んで行くことに心から喜んでいた。
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by jamartetrusco | 2007-04-23 18:05 | Arte (芸術)


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