2007年 11月 13日
マーク・ロスコーの色。色彩の重なり、濃淡、並列、対比にて神話を表した唯一の画家。15世紀の宗教画の多くより遥かに精神性、神聖を感じさせるその色彩。 人の命の背景にある心のよりどころ、神話性、人間の存在意義と神の存在など計り知れない定義を絵画の色彩を通して具現化した画家ではないかと思う。 神話。Mythology 。ある文化に属する自然とそこに認知する神の存在を具体的に寓話にしたり、表象に表したりすることによって崇拝の対象として象徴化することか。 神話を教義化して唯一神のもとに統一しようとしたのが宗教とも言えるだろう。 ロスコーの平面は宗教以前の「心」を内包する絵画である。 マーク・ロスコーの色には神がある。色彩に涙することができる。 彼自身が語っているように色彩は「人の根源的な情緒を表現する手段」である。 「自分は抽象画家ではない。形と色との関係に興味がある。唯一関心を抱くのは人の 根源的感情ー悲劇、忘我、運命ーの表現だ。」 彼の赤は呼吸している。 畏怖や悲願や歓喜が表れた色彩の帯。 色彩が持つ力の神秘。 まさに礼拝堂を飾るにふさわしい。ヒューストンにあるRothko Chapelは当然の帰結である。 色彩の呼吸、脈動がなくなった60年代後半のBlack on Gray Paintingー灰色に黒の絵画。 厳格に分離した2色の色彩画面。精神の浄化を象徴するような白。 心の悲劇をそのまま表した晩年の作品である。彼の自殺が理解できる最後のグループである。 色彩の変遷によってみえてくる画家の一生。 5年の修復期間の後、ローマのPalazzo delle Esposizioniが新たに開館した。 ローマでの展覧会会場としては最大の施設である。 大きな展覧会を3つは収容でき、カフェと本屋、映画上映などある文化センターである。 新規開館を記念して現在重要な展覧会が開催されている。 そのひとつが「マーク・ロスコー」展。 マーク・ロスコーは大学時代から大好きな画家で、さまざまな現代美術館にて作品はいくつか見る機会があったが、これだけまとめて時代ごとの彼の作品を展観するのは初めてである。 ローマにて必見の展覧会。 他に天才監督スタンリー・キューブリックの代表作を辿る展覧会とイタリアの現代彫刻家、マリオ・チェロリ展。それぞれまったく違う性質の芸術を紹介する質の高い展覧会が同時開催されている。活気あるローマになりつつあるこの古代都市。Dolce Vitaの再現は可能だろうか。
by jamartetrusco
| 2007-11-13 00:47
| Arte (芸術)
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