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2008年 02月 05日

アメリカの現代陶芸界

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純粋なる用のための器を作る作家でなく、オブジェや彫刻的な表現を土にて作る現代陶芸作家、いわゆるceramic artistにとっては自身の表現の領域が「工芸」か「アート」かという位置付けを容赦なく問われるストレスを伴ってきた。

土をメディアにする彫刻家、と自ら確言したくてもやはり陶芸家として見なされ、例えば他のメディアの彫刻家がたまたま土を使った彫刻を作った場合とどこか捉えられ方が異なるという皮肉がある。作品価格もしかり。陶芸作家の作品はどんなに有名になっても他のメディアの作家よりの作品より安い。
日本にも秋山陽のような優れた土のフォルムを制作する作家がいるが彼の作品にしても現代美術館所蔵の扱いではなく工芸館、陶芸美術館の担当分野となっている。

ところがアメリカの陶芸作家は特殊である。土という素材が一つの芸術表現の手段とみなされているのか、また長い焼き物史(アメリカインディアンは別として)がないためか、他の国にては陶芸作家とされる作家が現代アーティストとして成立しているのである。というより成立し始めた。

ニューヨークにて長い間、国内外の現代陶芸を紹介し現代陶芸促進に多大な役割を果たしてきたガース・クラーク・ギャラリーも最近ギャラリーを閉鎖した。閉鎖といっても公に展覧会を企画し、作品を見せる空間を閉鎖しただけでサイトによる販売や本の出版により力を入れると言う。彼によると、もう陶芸は陶芸ギャラリーの紹介する分野でなく現代アートギャラリーが担当するので自分のようなギャラリーの必要性はないのだそうだ。もう十分に今まで陶芸プロモーションに貢献してきたのでこれからは自分の好きなことに集中したい、というのが本音のようである。

事実アメリカの現代陶芸を代表する女性作家ベッティー・ウッドマンはニューヨークの
現代アート・ギャラリーのMax Protetchが代表するれっきとした作家の一人である。
彼女の作品も以前はガース・クラークで紹介していた。


ベッティー・ウッドマンは冬はニューヨーク、季節の良い4月ぐらいから半年はフィレンツェ近郊の田舎家に移住してくる。何度かお宅にお邪魔したが、工房もありオリーブの木に囲まれた素晴らしい隠れがである。
彼女の個展が今月このMax Protetchにて行われる。メトロポリタン美術館にても近年回顧展が行われた。作家として一世を風靡したと言える。

そして近年アメリカ発の動きはデザインと工芸を同一分野として扱う傾向である。
オークションやアートフェアにもこの動きが浸透しつつある。焼き物も建築の室内デザインの一部とし、モダンなインテリアとともに共存する工芸、という切り口である。

すべてがフュージョンするという現代文明の一側面のようだ。
これにつけても日本の工芸界というのはかなり特殊である。
工芸、という言葉自体の存在もその歴史の重みを表している。
アレも陶芸作家だったら日本でもっと作品発表がしやすかったのだろうに、と
思うのは邪道であろうが。

ベティーから展覧会の案内状を受け取ったのにつき頭に思うことを綴ったまでである。
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by jamartetrusco | 2008-02-05 18:12 | Arte (芸術)


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