トスカーナ 「進行中」 In Corso d'Opera

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2008年 03月 06日

ポンペイの赤

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紀元後79年のヴェスヴィオ火山の噴火のおかげで皮肉にもポンペイの遺産が今尚人々の目に触れることができるという運命の不思議。
ポンペイの遺跡から掘り起こされたローマ時代の屋敷の壁のフレスコ画の美しさは世界の絵画史の中でもひときわ際立っている。
昔から今に至まで私の美意識と美への嗜好の中で常に高い位置にあるのが此の時代のフレスコ画である。昔からこのポンペイの赤色を見ると心がうずくのである。まさかこの時代に生きていた誰かの生まれ変わりでもあるまいに。
色彩美、意匠の卓越と自由奔放な表現。
部屋壁を飾る際、黒か赤が好まれたらしい。
特に赤の色は有名で、rosso pompeiano、ポンペイの赤と呼ばれる。

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ニューヨーク、メトロポリタン美術館にもポンペイの火山灰の下に埋もれて20世紀初頭になって堀り起こされた遺跡の屋敷内の壁面の再現が展示されている。夜の部屋ということで寝室。壁面は黒を基調に微妙な色彩の装飾。発掘後にナポリ国立博物館と所蔵を分割したらしい。
ロ−マのテルミニ駅近くの国立博物館、パラッツォ・マッシモの3階にも美しいフレスコ画に見事に装飾された屋敷内の壁面の再現がある。この博物館の3階は必見である。
ローマ時代のモザイクやフレスコ画が多く展示されていて、2000年ほど前の美的表現の超越にただただ驚き感動を覚えるのみである。


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ポンペイの屋敷を飾るフレスコ画は現在ではいわゆる装飾芸術、応用美術というカテゴリーと見なされる美的表現にて、無名の職人的作家の手によるものであろう。
それ故にこのような自由で拘りのない表現が生まれたのかもしれない。
芸術家意識の生まれてくるルネサンス時代から表現は一変してくる。
一見ナイーブにも見えるその表現の高い芸術性と美の極致はその後の有名画家の作品にはない心の琴線に触れてくる何かがある。名の無き芸術。Unknown Craftsman、柳宗悦が英文にて書いた書物を思い起こす。

いみじくも"Rosso Pompeiano"という展覧会が3月30日までローマ国立博物館、パラッツォ・マッシモにて開催中である。ほとんどがナポリ国立博物館所蔵のもので、この時代の美意識を堪能できる展覧会である。
特に素晴らしかったのはCasa del Bracciale d'Oro(黄金の腕輪の家)にあったとされる様々な種類の鳥や植物に満ちあふれる庭風景のフレスコ壁画の再現である。5人ほど人が入れば一杯に感じるような小部屋の四方にこの美しい庭が展開するのである。
文句無しの美しさである。


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by jamartetrusco | 2008-03-06 19:18 | Arte (芸術)


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