2008年 04月 03日

クラナッハのヴィーナス

クラナッハのヴィーナス。
クラナッハ展にて展示されていた数多くの作品の中で一際目を惹いた。
展覧会の目玉のようにポスターにもなっていたのだが、作品を前に
感動した。
かなり小さい。しかし大きさに関わらない力強さがある。
微妙な影のある黒一色を背景にはんなりとS字型に立つ姿である。
透明なヴェールがいっそうその妖艶な仕草を引き立てる。
髪の毛と首にかかる宝石の装飾性と裏腹に全裸のその姿はどこか
アンバランスで危険性を孕んでいる。
ギリシャ神話の愛の女神であるヴィーナスであるのに、天上的でない。
そして通常共に描かれるキューピットも不在である。
アーモンド型の涼しい目線は神々しさより誘惑する女性のコケテイッシュさ
がある。
おそらく個人の所蔵家の注文で描かれたに違いない。

展覧会のポスターに選ばれた後、地下鉄駅などにこのヴィーナスを公開する
ことに異議が出たくらいである。そこら中にヌードイメージが氾濫する現在
になんとも矛盾する不思議な話しである。

他に光っていた作品はやはり背景が美しい薄緑一色の肖像画であった。

クラナッハは天上の美の具現というより、親密な空間に置かれた人間の
内面性、弱点などを表すのに長けていたようだ。
宗教改革者ルターの友であったのも頷ける。


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by jamartetrusco | 2008-04-03 23:18 | Arte (芸術)


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