トスカーナ 「進行中」 In Corso d'Opera

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2008年 04月 24日

内、または隠れたるもの

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オリーブ彫刻のドローイングがもととなっているこの不可思議な形体。
まだ下絵の段階であるのでどのように展開していくかわからない。
どうも納得しない、とアレは言う。次に進めない所以である。

しかしこの下絵を見ていて面白いと思ったのは内部と外部の関係である。
どこが初めで、どこが終わりかわからない曲がりくねる帯状の形体の連続。
それによって出てくる暗の部分、隠れた部分への好奇心。
アレの最近の作品はある意味でひとつの「もの」を追求する。その「もの」
に見える、または隠れる意味は「形」の追求ではなく、彼の心や頭に渦巻く
奥義のようなものである。あるときはそれはエトルスキのルーツの表出であり、
現在彼が置かれた自然への強い精神的絆である。
またあるときは日本というイタリアとはコインの裏表でありながら
表裏一体のような文化から感じる心の投影である。

ロンドンのナショナル・ギャラリーにて印象深い展覧会を見た。ナショナル・ギャラリーが現存の作家を招待してスタジオを制作のために貸しそして最後にその結果の作品の展覧会を行うというアーティスト・イン・レジデンスのようなプログラムがあるのだが、
アリソン・ワットはこのプログラムの7人目のアソシエート・アーティストである。1965年生まれのスコットランド出身の女性画家の大きなカンバス絵。布という素材に魅せられた画家である。とは言え布の素材感を追求しているわけではない。そこに隠されている「生きるもの」の脈々とした形や動き、声や囁き、血や肉が内包されているのである。所蔵品の中で彼女の制作に特に多大な影響を及ぼしたのはアングルの「モワテシエ夫人」やツルヴァランの「瞑想する聖フランチェスコ」である。
展示された作品の中の様々な色調の白の布のひだからなる底なしの穴のような暗い開口を見た瞬間、女性のエロスを感じたのだが、それは全く遠からず真実なりであることがわかった。彼女の臨時スタジオの壁に常に貼られていた創造の源となる絵はがきや複製画の中にクールベのL'Origin du Monde「世界の起源」という直裁で吸引力のある作品があった。彼女の創造性の中に常に力を持つ作品であるということ。なるほどと思った。

アングルの「モワテシエ夫人」の絵の中で彼女の左腕の下の布地と肌の下に隠れた暗闇の部分に最も強く惹かれる、というアリソン・ワットの言葉を読んでなぜかアレの作品を思い出したのである。
そしてこの下絵にも妙なエロチシズムを感じるのである。
まるで男と女の起源、とでも呼べるような。
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by jamartetrusco | 2008-04-24 21:49 | Arte (芸術)


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