2008年 09月 13日

Villa Palagioneでの展覧会EcoArtFestival回想

日本に帰国していたのでまったく実体験できなかったEcoArtFestival。
アレも出品作家のひとりとして多いに参加した7月から8月にかけて開催された文化プロジェクト。ヴィジュアル作家の4人展に加えて詩人の朗読会やシンポジウム的会合、ハープ奏者その他音楽家の演奏会、ハブニングなどなど盛りだくさんのプログラムが組まれていた。会場のひとつであるVilla Palagioneーヴィラ・パラジョーネ。

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この屋敷には様々な逸話がある。16世紀メディチ家継承のトスカーナ大公全盛期にその側近の一人であったヴォルテッラ出である貴族の家系メヌッチ家にこのVilla周辺の領域は属していた。このヴィラも大公の夏の家、狩りの宿ととして多いに活用されていたらしい。背後にそびえるヴォルトライオ山はエトルリア時代に遡る。山からは考古学的遺跡や出物品が多く見つかっている。山自体がエトルリアのピラミッドのようである。

この屋敷は60年代にはイタリアを代表する監督ルキノ・ヴィスコンティの65年制作、ヴェネチア映画祭で金獅子賞を受賞した"Vaghe Stelle dell'Orse"、「熊座の淡き星影の舞台として使われている。ヴォルテッラを舞台にした話しであるからこの屋敷などぴったりの背景を提供したに違いない。
その後持ち主が誰であったか知らないが、80年代半ばにイタリア人とドイツ人のカップルがこの屋敷に出会い、惚れ込み、当時崩れ落ちんばかりの悲惨な状態にあった屋敷を買い取る。その頃のイタリアの状況からするとかなり安く手に入れたことに間違いない。友人達の力も借りて時間をかけて修復していく。ドイツ人のご主人は大工仕事にたけた人だったので彼の貢献は多大だ。そして奥さんであるローマ人のアントネッラがこのVillaの文化施設としての再生の立役者である。

彼女の主導のもとに様々な体験、修得美術コースがある他、この素晴らしい環境に滞在しながら心身ともにエトルリアの息吹を感じるのに最適な休息場所を提供してくれる。
単なるアグリツリズモでなく、滞在しながら頭と心と体を活性化するような場所である。そしてその他に企画展を開催する。アレの参加したEcoArtFestivalの舞台になったのにもこのような背景があったわけである。

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この屋敷には大きな母屋の他、レモンなどを保管するLimonaia、そして歴史的屋敷には必ず付随している礼拝堂がある。15,16世紀のトスカーナの屋敷の典型的構造である。
展覧会会場となったののはこの礼拝堂と屋敷周辺の敷地庭である。

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アレの出品作はカンバスと木彫刻であったので野ざらしの展示には不適当であった故ほとんどは礼拝堂に展示された。唯一野外展示であったのはすでに紹介済みのVoltraioneである。もともと野ざらしで発見されたオリーブの根っ子彫刻であるから1ヶ月の野外展示に耐えうる性質を持っていたから。
礼拝堂の祭壇の上に杉の頭像、そしてその背後にカンバスのコンポジション。すでに展覧会に出したことのある作品ばかりであるが、監修したエルダが直々選んだものである。彼女が最初からアレの作品はそこ、と決めていたので展示は問題なく運んだ。

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プロフェッショナルな作家であるアンドレア・マリーニもなんなくポジションを決め無事に終了。礼拝堂の壁面作銀、黒2点。そして野外に出現する白い3つの物体と木から吊るした彫刻。風に揺れて美しい。

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問題はカルロとエレナ。

エレナの作品はアコーディオン式の本の作品なので展示はかなりむずかしい。結局机の上の展示となったが結果はどうもすっきりしない。礼拝堂の中に置くにむかない作品である。作品の良さも全く発揮できなかったようである。
またもうひとつの人型の透明ビニールに小さな貝殻や石をちりばめた作品。繊細な作風であるので野外も論外。せっかくの透明感がいまいちでなかった。誠に残念である。

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カルロはまた大変である。礼拝堂の壁につけるカンバスの木枠がゆがんでいてきっちりと互いに合わなかったり。紙にエナメル彩のインスタレーションは野外に展示しなければならない。雨のほとんど降らない7月,8月のイタリアであるから良かったものの。庭師に毎日出したりしまったりしてくれるか交渉したらしいが、それは無理というもの。しかし最後には屋敷の庭に不思議な空間を作る展示となった。

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4人それぞれが違った個性を持ち違った作風を持つ。
見に来る人の数は限られたものであったにせよ、エコロジーというひとつの構想に則った文化イベントとして将来にもつなげて行く可能性のある興味深い企画であったと思う。アレも次の企画への案をエルダに告げてやる気は十分である。
うまくつながることを祈って。


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by jamartetrusco | 2008-09-13 17:05 | Arte di Ale(アレのアート)


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