トスカーナ 「進行中」 In Corso d'Opera

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2008年 09月 22日

グリューネルワルドの象徴性

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16世紀初頭に描かれた「イーゼンハイム祭壇画」。
ドイツとフランス国境近くのアルザス地方の小都市コルマールの
ウンターリンデン美術館内の礼拝堂に配置されている。この祭壇画がなければこの町を訪れることすら思い立たないだろう。
描いたのはドイツのマティアス・グリューネワルド。
今年の6月、念願がかなってやっとこの祭壇画と対面できた。
どうしても見たいと思ってからもう20年近くが経った。
あまりに思いが高まると本物を前にして時としてがっかりすることがあるものだ。
しかしこの祭壇画は期待を遥かに越えて凄かった。
美しいとか、神聖とか、力強いとか、名画とかそういった普通の形容詞では
表すことのできない。
この画家の恐ろしいばかりの執念が描かせたかのような強烈なイメージの連続。
第一面は「キリスト磔刑図」。
さらに「聖アントニオの誘惑」そして「キリストの復活」。まだまだ尽きない。

「キリスト磔刑図」では死にいくキリストが全く美化されずに惨いまでの象徴性を持って描かれている。死体をそのまま見てデッサンしたに違いないその様相である。キリストの苦悩をグロテスクなまでに追求した超現実的な表現である。
その表現は作家個人の内面を象徴的に表したもの以外にない。
ノルマを外れたエキセントリックなまでの個性。
フランシス・ベーコンもグリューネルワルドの系譜であろう。
文句なしに圧倒された。


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by jamartetrusco | 2008-09-22 04:21 | Arte (芸術)


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