トスカーナ 「進行中」 In Corso d'Opera

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2008年 10月 06日

ロッソ・フィオレンティーナの赤、その現代性

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Rossoとはイタリア語で「赤」の意。
vino rossoの言葉ですでに衆知の通りである。

フィレンツェ生まれのジョバンニ・バティスタ・ディ・ヤコボ(1494〜1540)はロッソ・フィオレンティーノという名前で知られている。文字通り「フィレンツェの赤」という通称である。
赤毛だったためつけられた渾名らしいが、この画家の一枚の名作を語るのにふさわしい。レオナルド・ダヴィンチと同じく死ぬまでの晩年をイタリアを逃れてフランス国王フランソワ1世の擁護のもとに過ごし、後の「フォンテーヌブロー派」となる画派の発祥の元となったことでもその貢献は大きい。

しかしこの画家の頂点は1521年に描かれた「十字架降架」である。
これほど「赤」が効果的に使われている絵画も比類ない。全体の色の調和をきりっと引き締める赤。ドラマチックな動きと人物の鮮明な感情表現によって上下左右に揺らぐ絵画構図の焦点となっている赤である。そしてその色彩駆使と構図の斬新さは明らかに
ルネサンス的古典美を越えて表現主義的な現代性へとつながる。主題であるキリストの降架自体よりも人物の動きのダイナミズムと色彩の対比調和がこの絵の神髄にある。絵画上の手段である色とフォルムが重視されているという意味でまさに抽象性の高い作品であろう。

先月ヴォレテッラの絵画館にて初めて対面した。
この絵画館を訪れる価値を十分授けてくれる一点である。
隣にかかっているルカ・シニョレルリの「受胎告知」も素晴らしい。
しかしどこが違うのだろう。
シニョレルリの名画はまぎれもなくルネサンス盛期を飾る叙述的で線描の勝った絵画である。色彩も伝統に基づいた規格に則って使われている。しかしその色や形はあくまで
描かれている話しを語るためのものであってそのものの謳歌ではないのである。

色彩と動き、形体の解放、拡散、抽象。
そこにロッソ・フィオレンティーノの現代性が隠されているように思う。

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by jamartetrusco | 2008-10-06 23:47 | Arte (芸術)


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