2008年 11月 24日
ギリシャ語で「恐ろしい」という言葉に当たるゴルゴンーGorgonーとはギリシャ神話の鋭い牙をもった文字通り恐ろしい形相の女神である。女神というより女鬼である。その恐ろしい視線を浴びると浴びたものは石に成り代わるという神話があるため聖なる場所を守る魔除けとしてしばしば神殿や酒壷を装飾する。髪はのたうち回る蛇である。 ゴルゴンの姉妹であるメドゥーサの方が有名かもしれないが。 ローマで「エトルスキーラツィオの古都市」という学術的な展覧会を見た。展示品はほとんどがローマのVilla Giuliaにある国立エトルスコ博物館の所蔵品である。Villa Giuliaは行く度に閉まっていたので今までその貴重は収蔵品は見る機会がなかった。 今回の展覧会ではローマの近郊のエトルリア時代に栄えた都市、Veio, Cerveteri, Vulci, Tarquiniaに焦点を当てて、その出土品である様々な表現を見ることができる。出品作で特に有名なのはVeioのミネルバ女神(ギリシャのアテネ神に当たる)を祀る紀元前6世紀頃のアポロ神殿の遺跡から出土したテラコッタのアポロ像とそしてこのゴルゴンの頭部。 恐ろしいというよりややユーモラスなその表情に魅入ってしまった。 アポロ像は神殿の屋根の上に高々とそびえたっていたらしい。そしてゴルゴンは瓦装飾である。 この瓦装飾は即日本の鬼瓦を想起させる。鬼瓦もゴルゴンと似通った魔除けの用途があったに違いない。人間というのは文化文明は違えども想像力は似通っている。 展覧会を通して見えてくるのはカトリック導入以前ののびのびとした神々や人間像である。踊り、歌い、バッカス神に酔う。歓喜の宴。そして死は生と同じく、或いはそれ以上に荘厳である。エトルリアの埋葬文明はあまりにも有名である。 展示品のほとんどは死者とともに埋葬された品々である。 墓があまりにもりっぱであったためその後の幾度にも渡る墓荒らしで今ではほとんど見る影もないのが残念である。今に残る墓の壁を飾る装飾絵や彫刻などでその美しさを想像できる。死をこれだけ重んじたエトルスキというのはいったいどういう人種だったのだろう。エトルリアの神秘は語るにはあまりにも未知の部分が多い。 次回はエトルリア文明を求めてこれらの古都市をまわってみようと思う。 ローマという法王のおわす古代都市にてそれをさらに遡るエトルリアの底知れない 文明の深さと面白さ。イタリアの七不思議である。
by jamartetrusco
| 2008-11-24 23:00
| Storia (歴史)
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