<   2009年 04月 ( 3 )   > この月の画像一覧


2009年 04月 27日

三部作の集結ー今年のベネチアにて

今年は恒例のベネチア・ビエンナーレの開催の年である。
そしてなによりも訪問を楽しみにしているのはPalazzo Fortunyにて開催される"In-Finitum"展。
2007年、やはりビエンナーレ開催の年に同会場にて開催された"Artempo"展,
パリの国立美術学校の建物内の礼拝堂にて開催された"Academia: Qui es-tu?"展に続く3部作の最後の展覧会。
企画はベルギーの古美術商であり、世界的に有名なデザイナーであるAxel Vervoordtを中心にして成り立つ
美術学者達である。
Artempo展を見なかったことがいかにも残念であるが、実は去年ローマに滞在したおりに偶然にもこの展覧会カタログを見て「一体何の展覧会?」と思ったそのものである。"Artempo"は美術の本質はひとつで、時代を越えてひとつの筋によってつながれた美の法則がある、というようなコンセプトのもとに作品を集めた展覧会で、古美術と現代美術、東洋と西洋の別なしにAxel氏の美学にそって集めた作品群。そのカタログは美を集結した超現実的なエネルギーの溢れたものであった。
6月5日より始まるこの3部作の最後を飾る展覧会"In-Finitum"。「無限」とでも呼べようか。
いったいどんな美術作品が集結しているのか、今から楽しみである。

美を真に理解することはまぎれもなく"infinite"ー無限ーを感じることであり、この無限なる美の
時空を越えた力と可能性を本能的に理解することでもある。
それを理解しなくて作家というものは存在しないし、美の理解者も存在しないのである。
美の原点である。


f0097102_2184312.jpg

[PR]

by jamartetrusco | 2009-04-27 21:09 | Arte (芸術)
2009年 04月 22日

国芳=アヴァンギャルド

f0097102_17102964.jpg


歌川国芳の展覧会がロンドンのロイヤル・アカデミーにて開催中であるが、この展覧会予想以上の集客で大成功を収めているのである。同会場にて北斎、広重と浮世絵師の展覧会を過去に行っているが今、国芳を見せることの意義とそのタイミングは抜群である。
近年の日本の文化に対するヨーロッパの若者達の関心は以前のソニー、トヨタ、カメラなどの産業製品が日本国をあたかも象徴してきたものとかなり異なってきている。幸いなことに。
私の知るのは特にロンドンの若者事情であるが、東京スタイルへの憧れ、漫画、日本の若者文化の
諸現象を興味深く見守るティーンエイジャーが増えている。日本は是非行ってみたい国の上位である。BBCの番組でも人気プレゼンターのジョナサン・ロスがJapanoramaという
ドキュメンタリー番組を制作し現代日本のポップ・カルチャーを紹介して人気を博したのも記憶に
新しい。
かつては東洋文化、伝統文化、禅を始めとする仏教などかなり絞り込まれたいわゆるハイカルチャーと呼べるテーマに興味を持つ人のみが日本を訪れたものである。今では「漫画」を始めたとした大衆文化の面白みへの興味がかなりの割合を示しているのでは。日本の独自性と奇抜性は実はこのような大衆文化を紹介することによって真に理解を促すようにも思う。いつまでたってもお茶とお花と、というのではあまりにも片手落ちである。

この日本の現代の文化を象徴するかのような「漫画」、「劇画」の原点がまぎれもなく国芳の版画である、とこの展覧会を見て確信した。
18世紀の終わりから19世紀の半ば過ぎまで行きたこの版画師の想像力とイメージの構築力の凄さはなんだろう。
武者繪や役者絵の迫力はもちろんのこと、蛸や人間の性器を使ってのブラックユーモア溢れるグラフィックの斬新さ。

f0097102_1783693.jpg


人間の体を使って肖像を形作るその発想はイタリアのアルチンボルドと比較できる。国芳はもちろんアルチンボルドの作品など見る術もなかっただろうから、東と西の時代は異なる作家の想像力と風刺性の共通項は面白い。
主人公の人物よりも巨大な骸骨やクジラが画面の全面を占める構図はまぎれもなく国芳のエキセントリックなオブセッション、つまり彼の興味がなにに向かっているかを表しているようだ。
過去に作られた作品について「現代的である」と形容するのはいかにも月並みであるが、国芳の前衛性は今現在の日本のすべてのサブカルチャー、カウンターカルチャーの源泉であるような気がしてならない。体制的風潮から逸脱した一匹狼の作家。

この展覧会の出品作品のほとんどはアメリカの著名な法律学者であるアーサー・R・ミラー教授のコレクションからなり、このコレクションは近年大博物館に寄贈されている。
おそらく日本でも未公開の作品が見られるのではと思う。必見の展覧会である。


f0097102_17115237.jpg

[PR]

by jamartetrusco | 2009-04-22 20:42 | Arte (芸術)
2009年 04月 20日

日本にて思う

一昨日長い出張から帰宅。仕事にてこんなに家を空けたのは初めてである。
久々に家族と再会してほっとした。娘も気のせいか少し大きくなった気もした。

この春ほど桜の開花が好天気に恵まれた年は珍しいのではと思う。
快晴の青空に映える桜の美しさを毎日のように拝めることができて至福の境地。
花を愛でる、自然を楽しむというのは日本だけではない。
スウェーデン、デンマークからの芸術を愛する人々と接する機会を持てたが、彼らも
春の訪れとともに咲き出す花々への思い入れは日本人と同様であると聞いた。

空気を吸う、体を動かす、寝る、起きる、食べる、そして目で見て感じる、それらは
国や人種や年齢を越えてすべての人となりに共通する「生きる」ことの本質である。
いや人ばかりでなくあらゆる生き物の。

この大宇宙のひとつの息する魂として力を入れずに自然のなすがままに、水のように
流れて淀まず、様々な人とのご縁、毎日の出会いに感謝しながら、生きていこうと思う。

今回の旅はそんなことを新たに悟らせてくれるような機会を与えてくれた。


f0097102_1855295.jpg

[PR]

by jamartetrusco | 2009-04-20 18:07 | Vita (人生)