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2010年 04月 23日

木の魂ーAnima di legno

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グレーベのサン・フランチェスコ教会はやや小高い位置にあることもあって通りがかる人は
一度はその広場に寄ってみたくなるような場所である。教会としての機能はすでにないが
中に小さい美術館がある。収蔵品は突出したものはないが、しかしときどき興味深い小展覧会を催す。
イースターの後たまたま寄ってみて出くわした展覧会、題してAnima di Legnoー木の魂。
アレと同じく森林や野原でみつけた木株や川床や湖などで水に洗われて年期の入った
木の断片などを彫り込み立体像を作り出す、Luca Mommarelliールカ・モンマレッリの作品展である。
素材は土台以外はすべて木である。焼けこげて黒く変色した木の断片を艶やかな肌合いまで
彫り込み動きのある人物像と変貌させる。木目の美しさが光る形。木の自然のままの
曲線と歪みをそのままとどめ、そこに根っ子を彫り込んだ頭部をつけた人物像。
中庭に設けられた古びた農具を埋め尽くすのはやはり根子を彫り込んだ頭部。
まるでトロイの馬のような貨車の中から列をなして現れる木の人物達。
すべてのインスタレーションの主役はここでも「木」である。
独学で学んだという木彫りの技術は初期のリリーフ作品を見ても明白である。
ブリューゲルの有名な絵画を木版にリリーフとして彫り込んだ作品など、一度彫り損じて
しまったら修正もききにくいだろうからその技はなかなかのものである。

木の魂を彫り出すルカ。木にとことん惚れ込み、木を知り尽くしてこそできる仕事である。

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by jamartetrusco | 2010-04-23 00:12 | Arte (芸術)
2010年 04月 18日

Eyjafjallajökull

この読み方のすべもないようなアイスランドの火山が噴火して以来ヨーロッパ中
大変なことになっている。水曜日に噴火して以来、この木曜日から主要な空港ー
ロンドン、パリ、フランクフルトーが閉鎖。すべての便が欠航。そして今では
その灰塵の雲はどんどん南下してイタリアもミラノやベネチア、そして昨日から
はローマやフィレンツェもその雲の配下に被われつつある。
被われると言ってもかなり高度の空の上にて普段の生活ではまったく目にする
ことはできない。今日は久々の青空が広がるトスカーナ。
木曜日以来飛ぶことのできない乗客、そして出発便だけでなく到着便も着陸できない
のであるから世界中から帰られない人々があちこちに日ごとに増大していく、という
混沌とした状況である。今日の記事で読んだか上海に修学旅行に滞在していて帰る
はずのイギリスの生徒達がもし正常に戻ったとしても5月4日まで飛べる可能性は
ない、という。これは大変な状況になってきた。
そして飛行機がとばない、ということは運搬もできないことで郵便やさまざまな輸送
の問題もあるのである。只単に旅客機だけでなないのだから。
日本のオンライン新聞をみてみると全くその重要度がわかっていないのか取り扱いが
至極少ない。日本のジャ−ナリズムの島国性をつくづく思い知った。
アイスランドの火山なんて遠い国の話し、と思っているのだろうか。
ヨーロッパの主要空港が1週間も閉鎖することの重大性がわかっているのだろうか。
世界経済への影響にもつながるかもしれないのに。

この影響にて私も仕事にて明日のフランクフルト経由にて日本へ帰る予定が大幅に
変更になりそうである。明日の便はほぼ欠航に間違いないが、次の空席を取るには
いつになるやら、今や多くの便が満杯であろう。
ロンドンから来るはずの招待の方々も飛べないのだから同じ穴の狢にてこの自然の
威力と人間の無力を受け入れ運命に任せるしかない。

空からのこの火山の写真がまるで口を開けた悪魔のように見える画像を見て自然の不思議に
思わず笑いが出てしまった。

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by jamartetrusco | 2010-04-18 16:09 | Natura (自然)
2010年 04月 12日

知られざるアフリカ

近頃どういったら良いのか、様々な展覧会を見てもなかなか感動できなくなっている。
美術という無限なる領域の中で過去何十年にもわたり絵画史、美術史に名を残す様々
な作家、学派などの展覧会を網羅してきた。まだ体験、知識が少ない時代に実物の
作品の前に感じる新鮮な驚きや感動は今では再体験することは難しい。これは「知る」
ということの弊害であろう。もちろん見れば見るほどに見えてくる真実というのもある
のだが。
見た後になるほどと頭にて消化する展覧会は幾度となくあるが、魂に訴えてくるような
感動を与えてくれる美術展覧会というのはあまり多くはない。

今回の短いロンドン滞在中に見た展覧会 "Kingdom of Ife"はそんな中で新鮮な驚きを与えてくれた。
12〜15世紀にかけて現在のナイジェリアの南部にあたる地域に栄えたIfe王国のブロンズ、テラコッタ、石などの彫刻を見せる。今までアフリカ美術というと木やブロンズ製の人間像や仮面で、いわゆるピカソが影響を受けたと言われるような一群のプリミティプで力強い彫刻を思い起こす。
扱いも文化人類博物館の範疇に入っている場合が多い。しかしこのIfe王国の頭部彫刻は全くそれとは趣きが違う繊細で技巧に長けた、まさにその人物を目の前に見るかのような自然さと独特の美学がある。王侯貴族の頭部なのだろう。顔に縦に走る細かい線が彫り込まれているが、高貴な地位の象徴と思われる。
20世紀初頭にドイツの探検家のレオ・フォルベニウスが発掘するまで西欧では知るものもなかったいかなる西欧彫刻にも劣ることない卓越した彫刻群である。
ひとつづつの顔の表現から発されてくるのは誇り高い魂の平安である。奥底から来る微笑みに近い淡々とした柔和な表情である。それはどこか仏像の笑みに近い。彫りの巧みもどこか控えめな無名の作家の純粋な巧みである。
西欧一辺倒の美術史に新たな光を与えてくれるの違いない。まさに一見の価値がある展覧会である。「知られざるアフリカの偉大」を発見させてくた。


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by jamartetrusco | 2010-04-12 18:10 | Arte (芸術)
2010年 04月 01日

白いもの

親しい友人が今年の誕生日を記念して何か白いものを贈ってほしい
という願いを知らせてきた。
白いコットンでもなんでも良いのよ、と言われたのだが、さて
どうしよう、と考えて、トスカーナの海辺で拾った貝殻とか
小石なんてどうだろう、と思い、先日たくさんある小石、貝殻
コレクションの蓋を開けてみたものの、案外白い石がない。
灰色だったり、茶色の混じった白だったり。
これではあまり白とは言えない。それにそれほど形の良いのも
見つからない。白の小石を見つけるには白大理石の産地である
カラーラなどの地域の海辺に行かないとだめのようである。
アレに何か名案ないかと相談して、それならアラバスターの
石が良いのでは、と。アラバスターは奇麗な石だと透明に見える
ほどの白である。家にあるアラバスターの破片を探してみる。
でもこの石の破片だけではあまりにも殺風景に見える。

そこでアレに頼んで簡単なエトルスコのGrilloを彫ってもらった。
やや黒ずんだ部分がある小さな破片であったが彫り込むうちに
その部分も削られてかなり純白に近い小オブジェとなった。
単なる石の小片がちょっと手を加えるだけで生命を持ち始める。
かなり原始的な様相ではあるけれどその方がかえって石本来の
魂も感じられる。
エトルスコのお守りのようにどこかお家の片隅にでも置いてもらったら
嬉しい。

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by jamartetrusco | 2010-04-01 18:38 | Arte di Ale(アレのアート)