トスカーナ 「進行中」 In Corso d'Opera

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2011年 05月 20日

オックスフォードで出会うアフリカの木根

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オックスフォードに仕事で行く機会を得た。久々に訪れる学堂の古都。
以前ここを訪れたのはいつのことだろう。ロンドンに住んでいた80年代。
サマーボール(夏に開かれる大学のダンスパーティー)にて友人や姉と薄ら寒い
夏の夜の夢、頑張って薄着をして踊ったのはもう大分前のことである。
オックスフォードを流れる川でパンティング。
様々な思い出が甦る。恋をして悲痛な思いで訪れた町でもある。
私にとってオックスフォードは心地よい思い出の溢れる土地である。
そして30年ぶりに訪れた。今回は単なる仕事の一貫。
本当ならもっとゆっくりとした再会がしたかったのだが。
しかしこの日帰りの慌ただしい出張にて思いがけない強烈な出会いがあった。
出会いとは言え人間との出会いではない。
木根との出会いである。
仕事を終えてオックスフォードを知る友人や義兄に勧められた自然歴史博物館を訪れた。
以前滞在したときにもここに来なかった自分の愚かを思ったほど素晴らしい博物館。
その中にあるPitt Rivers Museumの面白さについては別に機会を設けよう。
この博物館に辿り着いて目に入ってきたのは巨大な木根。
博物館前の庭に10株の木の根がその存在感を持って鎮座している。
鎮座しているという言葉がぴったりである。
何故ここにあるのだろう、と疑問に思うとこれはどうもアフリカ、ガーナのRain Forestから
来た木根で、ロンドンのトラファルガー広場の展示を終えて6ヶ月間、7月末までここに
展示されているようである。Ghost Forest—死する森の題名をもって。
見る人にRain Forestの大事さを理解してもらうとともに木がどれだけ偉大かを短刀直入に
体験できる良い機会となるだろう。
これはアフリカに限らず世界中の森林への危機に思いを向ける契機を作るプロジェクトである。
30メートルにも成長する木と言う。

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by jamartetrusco | 2011-05-20 22:12 | Natura (自然)
2011年 05月 15日

Fuoco Fauto - 鬼火

5月10日に行われたエレナのBorse Nereのプロジェクト。今回は会場が図書館ということもあって
ナチ時代の「焚書の日」に合わせての企画であった。
アレの作品の主題はfuoco fauto、日本語では鬼火。自然界に存在する、または有機物から発生する
メタンガスなどに引火して起こる火の玉。沼底や墓場などに起こりやすい。
夜に発生するのでまるで魂の光のようであるので、旅人を迷わす悪霊とか悪戯な妖精として伝承している。
日本で人魂というのもこれに由来するのだろう。
人は腐敗していくときにガスを発生する。よって墓場から出る炎はまさに自然科学上説明できる現象
である。
腐敗から生まれる炎。死からの再生かのように。
不死鳥が自ら燃え尽きた灰から再生するように。
死、燃焼、炎、再生。
本を燃やしてもただ灰になるだけだが、本という人間の魂が詰まった精神性の塊を燃やすことにより
次の何かが生まれることも可能である。
破壊は再生への道でもあるのだから。
そう思うと今の日本はまさに再生の道を辿るしかないのである。
物質は破壊されても人間の精神はそう簡単に破壊されるものではないから。

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by jamartetrusco | 2011-05-15 05:08 | Arte di Ale(アレのアート)
2011年 05月 06日

VAN DER GRAAF GENERATOR

このところまたVan Der Graaf Generator 熱が再発熱。
先日ローマでコンサートを見たこともあるが。
とにかく今一番興奮する音。ゾクゾクする。
ここのところ一番好きなアルバム、初期のGodbluff。中に含まれる
Sleepwalkersは何度聴いても心底から感動する。
そしてKillerPlague of Lighthouse Keepers
(若き頃のピーターハミル必見), Undercover Man,
Man-erg, La Rossa...
限りなく好きな曲があるが、やはり70年代、初期が力強い。
最近再結成後にアルバムを3枚出しているがサクソフォンのDavid Jacksonが
抜けてからの2枚は何かが欠けた気がする。音の微妙なバランスが崩れたのである。

70年代にロンドンに住んでいたかった、とつくづく思うこのごろ。もう一度タイムマシーン
で戻りたい。

2005年の再結成後の初めてのロンドンでのRoyal Festival Hallでのコンサート、私も
幸運にも行くことができたのだが、このライブはVDGGの傑作の数々があるので
かなりおすすめ。Real Time

ヴァン・デル・グラーフ・ジェネレーター永遠なれ!
最高のバンド。
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by jamartetrusco | 2011-05-06 04:14 | Musica (音楽)
2011年 05月 03日

再びBorse Nere

エレナのBorse Nereのプロジェクトはさらに続く。5月10日、フィレンツェの
図書館Oblate
にて行われる。1933年、5月10日のナチスによる焚書の日に合わせてのイベントである。

当時ナチスのイデオロギーにそぐわない「非ドイツ的」であると宣告された書物25,000部を儀式的に燃やしたのである。中には有名なところではトーマス・マンやカフカ、アインシュタイン、
フロイド、エミール・ゾラなど含まれていた。推進者はナチス高官ばかりか教授や牧師、学生などが集まった群衆を前に扇動的な演説をしたという。

書物が無限に掲げる知識、概念、哲学、思想の象徴を破壊するという行為。本の持つ本質的な力への攻撃である。抽象を構築したものであれ紙に書かれ紙に印刷された物質であるから破壊もできる。

古くはルネサンス期のフィレンツェにてロレンツォ豪華王亡き後のメディチ家の衰退に伴う混乱期に現れたドメニコ派僧侶サヴォナローラの行為と近しい。
すべては神の意志に反する頽廃の悪行のなすもの、贅沢や瀟酒なものは焼き払い心を清めようというスローガンのもとに多大な数の書物、芸術品、贅沢品が広場に集められ焚かれたのである。

さらに思い起こすのはアメリカの幻想文学作家のレイ・ブラッドベリ−著「華氏451度」、未来社会を舞台にした言論弾圧を扱った話しでフランソワ・トリュフォー監督の同題の映画も当時見た時はとても衝撃的だった。

そして最近読んだ本で本の神秘的力を幻想的に表したゴシック風小説The Angel's Game。著者はバルセロナ生まれのスペイン人でアメリカ在住の
カルロス・ルイス・サフォン
。全部で4部作になる予定の「忘れられた本の墓場」シリーズの2冊目。一冊目のThe Shadow of the Windも是非読みたい。

本の力は偉大である。人間の知識と思考の宝庫である。良い文学を読むとその中にさまざまな真実が
隠されている。本を読めば読むほど心の豊かさは増すと思う。
過去から後世に伝えられた名著の数々なしでどうやって人間は未来に自らをつなげていけるだろう。
人間の魂の切れ目のない細い運命線のようなものだ。
本を読むという行為はインターネットにて事項を読むのとは全く異なる作者と読者の一対一の時空間がある。文学をとてもネットブックのような形体で読みたくない。
印刷されただけにせよ紙をさわりながら読むという物理的感触が必要である。

さて今回の図書館でのBorse Nereはどんなものとなるだろう。

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by jamartetrusco | 2011-05-03 01:16 | Arte di Ale(アレのアート)