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2012年 06月 29日

自然界の無限なる不思議

Geco (やもり)がランプの光に誘われて現れる夏の夕闇。
日中の熱気が少しづつ退いてくるのがこの頃である。
この10日間ほどの暑さは凄い。
太陽は毎日朝早くから容赦なく照りつけ、日陰でないととても
いられない。
昼間のうちはどこで隠れているのかわからないが、日が暮れて
初めて行動開始するやもり。その姿を見て自然界の無限なる
力を思うこのごろ。
やもりが垂直歩行できるのはその足の下にある襞に生える数百万の
ミクロの毛のおかげと聞く。
やもりの毛の分子と平面の壁の分子にファンデルワールス
力が作用して垂直歩行が可能になるという説を読んだが、
つい最近ではやもりの歩いた跡に判別不可ぐらいに付着する粘着質
がその理由では、ということである。このやもりの能力を参考に
可能性大の粘着テープを開発しているらしい。それとももう開発されたのか。

自然の不思議に限界はない。
自然の持つ神秘の話にもうひとつ最近知った驚異的事実がある。
slime mold という細胞生粘菌の不思議。
食べ物や植物につく菌であるが、アメーバのように増殖する。
その増殖の仕方が面白いのである。要するに一番最短距離を理解して
目的地に辿り着くのである。
実験では東京近辺の地図を出してきて、東京近辺の主要都市に豆を
置く。そしてそこにslime moldをいれるのだが、この菌がみるみる内に
豆に辿りつき増殖していく過程でその足取りはまさに東京の鉄道網と
同じであるという発見である。
要するに東京の鉄道網は近辺の都市に最短距離で辿りつけるように
建設されているという、これも日本の効率の裏付けであるが、slime
moldはそんな人間の努力など横目に本能的にその力をそなえている
という神秘である。
また迷路の最終地にも一番短距離、短時間で辿り着くこともできる。
(youtubeでslime moldと探せばいろいろ出てくるのでみてみてください)
この菌の能力を利用してさまざまな情報網、鉄道網などを開発することが
できるという。

自然の力とはどれだけ未知でありまた無限大なのだろう。
そしていくら人間が自然の生き物に在る不思議を科学的に解明し、模倣しよう
と思ってもそこになんらかの限界がありそうだ。

夏の夜、やもりを眺めながら想う。

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by jamartetrusco | 2012-06-29 22:55 | Natura (自然)
2012年 06月 23日

隠れ路地にあるオステリア

フィレンツェ、ピッティ宮のある広場の通り一筋奥に入ったところにVia Toscanellaという
人通りの少ない静かな路地がある。この路地を少し行くとパッセリ広場へと出て、この広場はいくつもの
レストランがありにぎやかな場所であるのとは好対照に静かな一角。
この路地に最近できたToscanella Osteriaがある。友人のカルロの知り合いが経営し、
普通のレストランとはひと味違う個性と芸術あふれる空間である。
建物は古くはピッティ宮の前庭にあるLoggia、開廊だったそうで、今の町並みとは違った様相を呈して
いたに違いない。フィレンツェのように15世紀から栄えている街は以前は建物だったところがつぶされて
通りになっていたり、前は屋敷の庭先だったところに建物が建っていたりという場合が多々ある。

さてこの建物にはいくつかの歴史深い人物が関係している。
まずはパオロ・ダル・ポッツォ・トスカネッリ(1397〜1482)。フィレンツェ生まれの地理学者、数学者、
天文学者で、地球球体論を唱えた知識人。アメリカ大陸発見のコロンブスに多大な影響を与えたそう。
トスカネッリなしには大陸発見はなかったとも言っても過言ではない。名前にあるダル・ポッツォというのは
井戸ということで、井戸のあるところに住んでいたパオロを意味する。
さてこの井戸は? 実はこのトラットリアのある建物の中にある。調べるとこの天文学者の住まいはピッティ宮殿のすぐ目の前の建物と言うこと。歴史的人物の住まいや存在を示す石版が壁面についている。
この井戸もその近くにあった庭先の井戸だったのだろうか。

さらにこの建物に関わるもう一人の人物はやはりフィレンツェ生まれの画家オットーネ・ロザイ
(1895〜1957)。未来派にもやや関わり、庶民の貧しい生活風俗や独特な寂々とした風景画で有名だ。
この画家がこのトラットリアの2階にスタジオを構えていたそうである。
1922年ロザイ作の「トスカネッラ通り」。今でもこの路地はこんな佇まいを残す。

歴史香りあふれる住所にあるこのオステリア。経営するファブリツィオ・ロベルト・ゴーリ氏も飲食業を営む家に生まれて伝統的トスカーナ料理を継承するだけでなく、熱心な美術史家であり、また自ら絵筆をとる。
芸術を愛するゴーリ氏の美意識はそのまま彼のオステリアにも生きている。
歴史ある建物を生かして、天井は15世紀当時を思わせる石のアーチにモダンなデザインの照明、
壁にはいくつもの絵が飾られ、画家の工房さながら。サラミや生ハムまで背景の一部のよう。
アレのサラミや生ハムの絵を置いてもらいたい空間だ。
床も少しだけガラス張りの覗き床、足の下の歴史を見せる。
階上のロザイの工房跡も様々に利用できる空間として近々公開するそう。

素敵な空間でお料理もなかなかなのにお値段も手頃。いかにも観光客相手の商業主義のレストランが
多い中、真の意味でフィレンツェ文化を継承したトラットリアのように思う。

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by jamartetrusco | 2012-06-23 18:14 | Paese (土地柄)
2012年 06月 15日

海の主

夏の家を探した。
いつも訪れるバラッティ湾のそばを中心に。
最近は人が多くなって昔のようにはいかなくなっているけれど
それでも美しさで語ればトスカーナの海岸線の中では一番
と思う。
トスカーナの人々だけが知っている隠れ家だったのだがだんだんと
他の地域の人達も知るようになり、今では北イタリア、北方ヨーロッパの
家族連れが多い浜辺となった。
湾であるから荒波が来ないということと遠浅という利点が幸か不幸か
家族連れを多く引き寄せるのである。
我々もその例外にもれないのだが。

それでもまだまだ人が群がる浜辺を避ければまだ静けさを楽しめる
海辺であるー美しい海と鉱物の混じった黒っぽい砂。
トスカーナの海岸線はあちこち試したのだが、やはりバラッティ湾は
心に残る。
背後に松林があり、そしてエトルリアの遺跡のあるポポロニアの丘が
海にそそり立つ。
廻りは美しい自然のみ。私の幼少時代の海の景色を想起させる。
懐かしい香りがある。
昔からあるカフェレストランも全く変わらず。変わらないことの良さをつくづくと
感じる場所。

なるべく人を避けて泳ぐ浜辺ー4時頃になると必ず現れるご婦人がいる。
犬2匹を連れて。
ご婦人はスマートとは言えない体型であるが水に入るとその泳ぎぶりは素晴らしい。
まるでイルカのように、なめらかに、楽しそうに泳ぐ。
愛犬はご主人の泳ぎぶりを誇るように吠える。
毎日毎日欠かさず必ず同じ時間に現れる彼女。彼女の存在を気にかける人は
どれほどいるのだろう。

今回家探しでバラッティ湾に歩いて行ける貸しアパートに声をかけてみた。
もう時期は遅く満杯だったのであるが、なんとこのアパートの経営者が
このご婦人であった。
ついアレが「もしかして犬を連れてくる方ですか?」と聞いてしまったぐらいである。
一言だけ「そう」と答えた彼女。ぶすっとした表情から何かがこぼれた。

それ故最後に自分で貝に手書きしたアパートの名刺をくれた。時間があるときに
楽しみでしているのよ、貝は本物よ、と説明してくれた。
暗黙の内の意思疎通があったような気がした。

バラッティ湾の門番のような彼女の存在。
この海の真の主と思った。
会えてとても嬉しく思った。名前はフランチェスカ。

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by jamartetrusco | 2012-06-15 04:07 | Vita (人生)
2012年 06月 09日

野生ルッコラ

Rucola-日本ではルッコラとして知られる葉野菜は最近では日本でも店頭でかなり
普及しサラダの素材として人気である。
このルッコラには野生と栽培の2種がある。辞典によるとこの野生と栽培されるルッコラとは別種
だそうで、栽培のルッコラの花が白っぽいのに対して野生は黄色、アブラナ科に属する。
野生タイプは普通のルッコラよりもっと芥子のようなピリッとした味わいが強く、葉っぱも肉厚である。
ローマ時代から好まれて食される葉野菜である。
ビタミンCやカリウムたっぷり入ってアフロディジアカー媚薬としての効能もあるというのでローマ時代
からイタリア人の食文化に取り込まれていたという背景も理解できる。
地中海性の気候に適し、土道の際とか雑草の生えているような荒れ地に多く育成する。
海辺の土道で見かけて採集したことは何度かあるのだが、自宅周辺で一カ所だけこの野生ルッコラを
収穫できるところがある。なぜそこだけなのか、未だに不明。
個人の邸宅の門の外の道路脇で、ちょうど脇に駐車できる空き地があるので今頃の季節になると
5分ほど車を走らせ目指すルッコラ採集へ。
例年この時期は雨がさほど降らず急激な猛暑が訪れたりであまり育ちは良くないのだが、今年の成長
ぶりには驚くばかりである。雨と太陽の具合が最高だったのだろう。
野生に生きるこの何気ない葉野菜、小さいその葉っぱからその味の濃さを心底味わうこのごろ。
ぴりっとした辛みのあるその味は太陽の恩恵を浴びて真に力強い。

大地、太陽、そのエネルギーを得た緑。

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by jamartetrusco | 2012-06-09 04:08 | Natura (自然)