トスカーナ 「進行中」 In Corso d'Opera

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2012年 10月 21日

sugheroの彫刻


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ワインのコルクの原材料はコルクの木であることは知る方も多いと思うが、このコルク材のほとんどはヨーロッパ南西部のボルトガル、スペイン、イタリア、またはアフリカ北西部の地域から来ている。特にボルトガル産が世界のコルク高の約60%を占めてい るというのは驚きである。続いてスペインの約30%、イタリア産はわずか5%に過ぎず、またそのほとんどがサルデニア島から来ている。イタリア語では sughero-スーゲローというこの木は樫の木の種で、その樹皮がいわゆるコルクの原材料となる。樹皮をとるにはまず樹齢25、30年の木であるこ と、木の胴回りが70センチに達していること、そして10年ごとに樹皮を剥くことができるということで、寿命は200年ほどだそうだ。ワイン瓶の栓や床 材などで日常でおなじみな素材だが、数十年も生きてきた木の樹皮を利用させてもらっていることを知ると有り難みが増すようである。

樹皮を剥くには特別の斧が必要で木を損なうことなく樹皮だけ剥いていくのは技術が入ると思われる。樹皮を剥いた木には剥いた年を入れてまた10年据え置かれる。最初の2回の収穫でとれたコルクは大変良質で床材や断熱、防音材などの建築素材に使われ、その後の収穫のものはワインのコルク栓として利用される。 ワインの質を保つのにコルク栓は有機物で臭いを移すことがあるので、より適したプラスチック製に代替しようという動きが一時あったが、やはりワインの 栓はコルクでないと意味がない。つるりとしたプラスチックの栓ではワインがまずくなる。

そして樹皮を剥く時期も木からはがれやすい時期である5月から8月までの春から夏にかけてのみと言うこと。もうひとつコルクガシが偉大なのは、植えた 地域の砂漠化を防ぎ、様々な鳥達の絶好な住処となることだ。私たちがよく行く海岸線にも、その昔は植林され今では放置されたのか、または自然に生えたの かわからないが、コルクガシの古木が生えている森があり、近くで見る古木は圧巻である。

このコルクの樹皮を使って屋外のインスタレーションの作品を見た。イギリス生まれでウェールズの田舎に住む彫刻家のデヴィッド・ナッシュ。常に木 を使って自然との共鳴を造り出す作家、木の文化である日本にも何回も足を運んでいると聞く、ロンドンのKew Gardensにて展覧会があり幸運にも見る機会を得た。
ポルトガル滞在中にコルクの植林で樹皮を貰い受けてきたもの。コルクの樹皮の存在感に圧倒される。木の素材の美しさに魅せられた作家。国と年齢とアーティストとしての世論の違いはあるとは言え、そのパッションはアレの持つそれと大差はないと思う。

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by jamartetrusco | 2012-10-21 03:50 | Arte (芸術)
2012年 10月 10日

2日だけの展覧会

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フィレンツェの元修道院を改装して現在は工芸、職人工房の集まりとなっているSAMー
Spazio Arte e Mestiereーアート&クラフト空間。
元修道院とあって中庭を囲む建物の空間は瞑想としての場所として建った過去を
そのまま継承して静寂に包まれている。
制作するにはうってつけと見える。

この場所はフィレンツェの中心からやや外れていることもあって普段は人の出入りは
ほとんどない。
そのかわりに年に数回週末に合わせてオープン・スタジオを企画している。
その際には普段はそこに工房を持たない工芸家や美術家にも開いている空間を
レンタルしている。

この週末その企画に参加してきた。アレがフィレンツェでのギャラリーで作品発表したのは
すでに10年前のこと。それ以降イタリアにて発表する気概がなくなり、日本のみにて
展覧会をする機会が多かった。今回この空間が美しい修道院跡であることと友人が
そこに工房を構え始めたこともあって参加する運びとなったのである。

かなり大きなスペースを提供してもらったこともあり、今までほとんど公開したことのなかった
木の彫刻群を展示することにした。ふたりだけで田舎の家から会場まで運ぶのは一労働
だったが、その甲斐あって空間を十分使ってすべて展示することできた。
スタジオの奥底に眠っていた彫刻達は太陽の光を浴びて別の顔を見せてくれた。

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たった2日間の展覧会だったが、見にくる人々がアートと工芸に興味深い人を厳選して
いるせいもあり、質問されたり説明したり、アレも彼らの応対に忙しく、一日中しゃべり
まくり、しかし自分の今までの制作が無駄ではなかったことな、と実感。

作家にとって作品を見てくれる相手は不可欠な存在である。この展覧会でひとつの拘り
がすっと消えて次へのエネルギーをもらったような気がする。

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by jamartetrusco | 2012-10-10 01:16 | Arte di Ale(アレのアート)