2009年 06月 28日
パリから150キロほど東南に下がったところにある街Troyes,トロワには私たちの友人の 映像作家アントネッラ・ブッサーニッチが住んでいる。去年の夏、京都にて体験を共にした。 パリに来ていることもあって彼女を訪れることは必須である。 彼女はフィレンツェの人であるが、父はクロアティア生まれのイタリア人。故にイタリア人という よりはクロアチア人という意識が強く、戦争のどさくさにて生まれた家も土地も財産もすべて没収され、国外追放になったというかなり悲劇的な背景を持つ父であるが、それらを水に流してフィレンツェにて人生を築きあげた。とは言え彼女が自分の姓をイタリア名のブッサーニからクロアチア名のブッサ−ニッチに改名したのはある意味で自分のクロアチア人としての存在への証であろうか。日本から帰って去年の秋以来息子のアントンと住みついたこの街トロワ。 トロワは素晴らしい街である。まず古い建物がそのまま残っている。日本で言えば飛騨の高山のような木材建築の集結した街。全く観光化されていない。住む人のために市がお金を投入している。 個人所有の歴史建物を修復するために市がお金を出してくれるのである。(京都市もそのぐらいの 援助をしたらどうなのだろう、町家がつぶされる理由は持ち主が維持できない事情があると聞く)。この市の政策故に自然と街は昔の姿を戻しつつある。60年代に改装された漆喰は拭いさられ中世からの壁肌が新たに現れる。 この街のあっぱれなのはそればかりでない。文化、芸術に投資しているのである。 市に寄付されたりっぱな屋敷跡を選抜されたアーティストにアトリエとして提供しているのである。それも月にたったの88ユーロ(12,000ほどで)。10人ほどいるこのラッキーな アーティスト達はそれぞれが60〜80平米ぐらいの大きなアトリエを3年間自由に利用できる。 そこに住まないことが条件で。 素晴らしい庭もある。そして展覧会会場もある。まるでアーティストのユートピアである。 そこに仕事をする若い作家、またはさまざまな体験をしてここに至る作家に会った。 皆がそれぞれの思いにてエネルギーを発散できる空間の無限大、そしてそれを支える市の懐の大きさ。この場所はその庭に高々とそびえる神々しい銀杏の木に敬意を表してGinkgoと呼ばれる。 Ginkgoとは西洋名の銀杏のことである。 この27日にはアトリエ公開があると言う。その準備に忙しいアントネッラ。 その機会に居られなかったのは残念だった。
by jamartetrusco
| 2009-06-28 05:23
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