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2011年 01月 16日
近年では数年前拒食症打開のために拒食症でやせ細った女性の裸体写真の大ポスターを制作公開するなど、賛否両論の論議を常に醸し出すイタリアの写真家、オリビエロ・トスカーニ。以前はイタリアの代表ブランドのベネトンの広告写真家として一世を風靡した。 趣味が良い悪いか、好きか嫌いかは別にして過激な姿勢をいつも持ち続け、社会の一般常識へ疑問を投げかける気骨のあるアヴァンギャルドな魂を持つ人と言えるだろう。彼の制作姿勢は純粋に自身の考えるところの正義感からきている。故に一匹狼的存在である。 その彼が今度もまた賛否のスキャンダルの話題の的となっている。 1月13日、フィレンツェにて行われるファッション・フェア、ピッティ・ウォーモのイベントのひとつとしてスタツィオーネ・レオポルダにて行われたトスカーニの写真による2011年カレンダーのお披露目会。この席でトスカーニを含めた6名のパネラーが「自然の力ー女性との出会い」という討論会を行った。 このカレンダー、普通のカレンダーではなく、なんと女性の腹部から下のみを大写しにして12月分のカレンダーにしたもの。ローリング・ストーンズ誌の1月号の付録として配布されるということである。 もちろん反対側の大論争は間逃れない。 テレビなどで女性のイメージの侵害が当たり前のように行われている現在、この写真は単なる女性の「自然のまま」の状態を映し出したにすぎない、というトスカーニや出版編集長の言い分である。 確かに唇を厚くしたり、頬骨を高くする顔面成形をしたり、胸をボール玉をいれたように大きくしたり、自分で良いと思っているのだろうが、見るからに男性受けしようという様相の、女性の尊厳を否定するどころか侮辱しているかのような人工的な芸能人が当たり前のようにTVに出回るイタリアの現在のマスメディア。 そういう女性を良しとする風潮に比べてこの写真はまさに自然そのもの。それを痛烈な皮肉を込めて呈示しているのだろうが、反対側の意見ではこの写真もまるで女性を物体として扱っている、と目くじらを立てている人びともいるようである。配布を阻止しようとする方向が優勢のようだ。 このカレンダーから、即、想起したのは19世紀の写実主義の画家ギュスターブ・クールベの「世界の起源」という絵画である。この女性の腹部の裸体画、当時はかなり衝撃的だっただろう。 この作品は理想化された裸体でなく目の前にあるがままの裸体図である。 裸体とはこういうものであるとまざまざと示したかのように。 通常のエロチシズムではない、日常の風景画のような、当たり前の事実としての裸体という印象を受ける。 女性のあるがままの「自然」を讃える、という意味でトスカーニの写真はクールベの作品の継承であると言える。
by jamartetrusco
| 2011-01-16 00:55
| Arte (芸術)
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