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2011年 04月 22日
ローマの民族博物館で西アフリカのフェティッシュー呪術のオブジェをその収蔵品の中にみつけた。 その姿の強烈な力におもわずぞっとする霊気を感じた。 いわゆるフェティッシュと呼ばれる呪物崇拝を背景に生まれた像である。 木製の人間の像にあらゆる形の刃物を打ち付けてある。 フェティッシュという言葉はフランスで初めて使われたらしいが語源は ラテン語のfacere。イタリア語でもfareというが、要するに人間の手で 作られたもの、ということである。 人間が信仰を考える上でなにか対象となる崇拝物、礼拝物を作ろうとしたこと から始まった歴史は長い。 カトリック教会では十字架や聖遺物などがそれだろう。カトリックの司祭に 十字架がフェティッシュの一形体などと言ったらしかられるだろうが。 聖遺物とは聖人の遺骨や遺品を箱に入れたりして保存して聖なるものと して教会に配置して祈りの対象にするものである。そこにはまぎれもなく アフリカのこの禍々しい像に通じる何かがある。 ギリシャ正教やロシア正教などの正教会ではイコン、聖像が祈りの対象となる。 それ自体は人間が作った物体、像が人間の祈りの対象、または魔除けとなる。 日本のお守りもある種のフェティッシュだろうか。 フェティッシュという言葉はその後フロイトが性的意味の定義付けをして以来 性的な嗜好を表す言葉として使われることが多くなった。 人間の体の一部にエロチシズムを感じるなどがそれである。 本来の呪術的、信仰的意味から遠のいているかのように見えてどこか人間の 奥底に潜む本能的心理を表すものとして共通性があるとも思われる。 そこから派生してタブーという言葉にも繋がる何か。 フェティッシュとタブーの発する源泉は同じかもしれない。 人間の光と影を表裏一体に合わせ持つ精神史、宗教史の一面である。 ![]()
by jamartetrusco
| 2011-04-22 00:09
| Storia (歴史)
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