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トスカーナ 「進行中」 In Corso d'Opera

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2015年 04月 05日

Orbetello 今の源となった町

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1993年の7月。
8月から始まる絵画修復夏期講習に参加するためにフィレンツェに向う前に
イタリア語の勉強で数週間滞在した海辺の町Orbetello。
トスカーナの最南端にあたるアルジェンタリオ半島をつなぐ細長い陸地に
ある不思議な地形の町。
ラグーナ(潟湖)中央にある砂洲にできた町。
トスカーナの海辺の語学学校を探していて当時はどこに位置するなどわから
ないまま滞在を決めた町。

アレと知り合うきっかけとなった大事な町である。
この町に来ていなかったらアレと会うことはなく、今の娘も人生もないことを
思うと不思議な運命を感じる。

そんなに深い想いのある町なのに、93年以来一度も再訪する機会が得られなかった
のが妙である。

復活祭の前夜とも言えるVenerdi Pasqua (イースターフライデー)の晩に娘の
お気に入りのMadhがこの町に登場すると聞いたのがロサンジェルスに行く前。
帰ってから2日後で、6日には仕事で東京に発たなくてはいけないことを
考えると日程的にきついのはわかっていたものの、娘の情熱を重んじてあげたい
というのがひとつ、そしてもうひとつの重要な要因はコンサートの町がOrbetello
であったこと。

20数年ぶりに訪れた町、滞在していたアパートの場所や町の風景はすべて記憶に
鮮明であるが、まだ左も右もわからない当時の自分の心境とは全く違う今の自分が
長い月日を経て同じ場所に立つというのは感慨無量だ。

未熟な片言のイタリア語で暮らしていた当時、知らぬが仏の大胆さもそういう
時期にしか味わえない醍醐味である。
しかしその時には考えてもいなかったアレとの出会いとそこから始まる今の家族、
人生を思うと久々に訪れたこの町に感謝の気持ちが溢れ出る。

お美味しい魚料理のトラットリアにて白ワインと食後酒と、すっかり飲み過ぎて
ほろ酔い加減になりながら、亡くなった友人の魂を大事にもっともっと強く生きようと
心に固く決めた。

深夜の2時過ぎまで近くの屋外ディスコの公演に
熱狂している娘とそのお友達の迎えまでまだまだ時間があるので、
アレと散歩しながら生きる喜びを感じた。

by jamartetrusco | 2015-04-05 00:29 | Vita (人生)


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