2006年 10月 07日
ここのところたて続きにレオナルド・ダ・ヴィンチの話題が続いてしまうのだが、これもすべてダン・ブラウンのベスト・セラー「ダヴィンチ・コード」の波状効果であろうか。 先週のIl Venerdi di Republica(レプブリカという新聞の金曜日についてくるカラー刷りの雑誌)に面白い記事が載っていた。 ヴェッキョ宮のSalone di Cinquecento 「16世紀の大広間」にあるジョルジョ・ヴァザーリのフレスコ画の下には実はレオナルドの描きかけの「アンギアーリの戦い」の図が残っているという説があることを以前も少し書いた。 これを立証すべく頑張っているのは、美術品を科学的に分析する(いわゆるX線を使って下絵を写し出したりする分析)Editechの中心人物マウリツィオ・セラチーニとフィレンツェ科学史研究美術館の館長パオロ・ガルッツィのふたりである。 ヴァザーリのフレスコ画のひとつにはさらに兵士の群れに隠れた緑色の旗に白地でくっきりと "Cerca Trova"ー探せばみつかるーという謎めいた言葉が書かれているのだから、ますます探偵心が踊るというものだ。 最新のテクノロジーを使ってヴァザーリの上描きの下にレオナルドの使用した顔料などを確認する方法があると言うのである。1975年から77年の2年間アメリカ側の支援もあって研究は進んでいた。また2000年には別のアメリカの企業がつき、レーダーを使った新技術も加わっていよいよ下絵のレオナルドを実証するお膳立てができたというわけである。ところが、土壇場になって公式な文化庁からの許可がおりなくなった。ということで宙ぶらりんの状態になっているらしい。 このガルッツィ氏、実は、「アンギアリの戦い」の素描をもとにコンピューターを駆使して、映像に再現しようとしている。氏曰く「レオナルド自身も絵に臨場感をもたせるために蝋をつかって馬の模型など作ったと言われています。私たちは蝋ではなくコンピューターを使って馬の駆け足の様子や槍を投げ、兵士が馬から落ちる様子、土ほこりと血にまみれた戦場の様子をアクション映画として再現しようというのです。この画像は2007年の展覧会にて日本の方々がご覧になれるでしょう。」 ということで来年はレオナルド関係の展覧会が日本でも開催されるらしいことがわかった。 こんな興味深い研究をでは何故文化庁は認知しないのか? 理由は様々考えられる。 パラッツォ・ヴェッキョ自体市役所の役割も果たしているから、このことが実証などされたらまた観光客の数は増え、この大広間への訪問者の数も急増するだろうから、それを阻止するためかもしれない。そして今さら下にレオナルドの図があるとわかっても、上にあるヴァザーリのフレスコ画を剥がしてしまうわけにはいかないであろう。 そして確かに美術品を科学的に解剖、分析してもなんになるのか、ということもある。 レオナルドの神秘は単に密かな不思議として皆の想像力の片隅にそっとしておくのもおつなものだろう。
by jamartetrusco
| 2006-10-07 00:03
| Arte (芸術)
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