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2006年 10月 19日
![]() ![]() 朝7時、ようやく陽が彼方の山から上ってくる。その前の朝焼け空の美しさ。耳にはいるのは自然の奏でる音のみ。ぴーんとはった空気から伝わる静寂感。 ひんやりしたテラスにて朝の空気を吸いながら今日という日の最初の光を一瞥する。黄昏の夕焼けの「終結」を告げる光でなく、すべての「始まり」の一光である。 「曙」 「暁」ー すばらしい言葉である。漢字一字に早朝という自然が内包する美が集結されている。 イタリア語ではAlba, Aurora。アルバ、アウローラ、特にAuroraはほのかに香ってくるような美しい響きである。ギリシャの神殿に当たる陽の光のイメージ。地中海の夜明けである。 ![]() ![]() 春はあけぼの。やうやうしろくなり行く、山ぎはすこしあかりて、むらさきだちたる雲のほそくたなびきたる。 清少納言の表現力の天才に感心する。しかし秋のあけぼのも捨てたものでない。 秋の夕暮れは憂いを誘う。 三島由紀夫の「暁の寺」。4部作からなる「豊穣の海」の第3巻。起承転結の「転」の部分とも言える。輪廻転生の転生でもある。 なにかが生まれ変わる、朝焼けの顕われる時間はそんな新しい生命に光がともる一瞬である。 黄昏も暁もその瞬時にしか垣間みることのできない陽炎のような美のエッセンスがある。心が微妙になびく、明暗のはっかりした二つの世界の境界線の狭間にあるうたかたの美。 吸血鬼は朝日に当たると死んでしまう。あけぼの時はドラキュラにとって暗いねぐらに帰るラッシュアワーである。 ミケランジェロのメディチ家廟の彫刻の「夜明け」の像は若いエネルギー溢れる女性像である。 そして夜の名残りの月がほのかに見えるのも暁の時。太陽と月がともに共存する一瞬でもある。 限りなく夢の広がるひととき。 ![]() ![]()
by jamartetrusco
| 2006-10-19 00:06
| Natura (自然)
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