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トスカーナ 「進行中」 In Corso d'Opera

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2007年 03月 07日

EEA 21展によせて

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EEA 21ーEcology Earth Art 21。非営利団体として数年前に設立され、アートを媒体として地球自然環境への意識を促し、アートがいかに社会へ貢献できるかを問う美術展覧会であり、その趣旨に賛同する作家、有志から成り立つ人ベースの団体である。
率いるのはEEA21副代表の横澤氏。今回パリを回ってフィレンツェを訪れた。フィレンツェ訪問の目的のひとつはこの7月に行われるEEA21第7回展のためにイタリアからの招待出品作家を選ぶことである。7回目を数えるこの展覧会。毎年EEA21の活動に賛同する埼玉県立近代美術館において夏休みの時期に開催されている展覧会である。
夏期という通常は展覧会開催期間として避けたい時期に何故行われているかというと、夏休みの研究課題として中学生達が展覧会を見て感じたことをレポートにするという学校課題への美術館参与があるからだそうだ。

今年が“Primavera Italiana"ー「イタリアの春ー2007年」ーと題された日本におけるイタリア年であるため、EEA21もこのプログラムの公式イベントとして日伊の文化交流の促進に寄与していこうという意図である。そしてその作家の一人にアレが幸運にも選ばれた。たまたまわたしのブログにてアレの存在を知って頂いたことがそのきっかけである。アレが生まれ育った地元の大地、自然に強く根ざした仕事を続けていること、また使用する素材が自然のオリーブの根っ子であったり、トスカーナの土や砂であったり、という制作志向も自然への想いを喚起させようというEEA21の主旨に近いものであるからと思う。
短いフィレンツェ滞在中にスタジオまで訪れ作品を見て頂く幸いを得た。
そしてフィレンツェ在住の自然と密接に関係しながら制作する作家数人も紹介することができた。これは友人の美術評論家のエルダ・トレス女史が選んだ作家達である。いずれも作風が異なる4名の作家達。EEA21の展覧会に興味深い色彩を添えてくれることは間違いない。

氏のフィレンツェ訪問のもうひとつの目的はウフィツィ美術館の館長とのインタビューである。
メディアを通じてすでにご存知の方も多いと思うが、「イタリアの春」の目玉展覧会である「レオナルド・ダ・ヴィンチー天才の実像」展においては、ウフィツィ美術館より門外不出のレオナルド作「受胎告知」が展示されるということで今から話題となっている。

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イタリアでもこの重要な文化遺産の貸し出しには実は賛否両論ある。こんな重要な遺産を何故危険をともなう海外移動をさせなくてはならないのか、ウフィツィの中でも重要なコレクションを貸し出す必要はあるのか、などなど。

先日の新聞の記事では移動には国立修復機関であるOpificio delle Pietre dureの専門担当員ロベルト・ボッディ氏が科学的調査の上、その最善方法を考案した。作品の保管される梱包木材の安全性はもちろんのこと、この梱包内の環境を常に一定の温度、湿度(ウフィツィ美術館内の温度19−20度、湿度50−60%と同じ)に保って飛行機移動される。さらに作品の状態を逐一管理できるセンサーのような機器も設置し、まるで病院の心電図さながらの完全防備にて保管移動される。3月12日に美術館の壁からはずされ、日本までの長旅を開始するのである。

今回のインタビューはこの話題の展覧会を背景としてその当事者である館長にそのあたりの意見と昨年6月に館長就任したばかりという新館長としての今後の方針など伺うためである。
インタビュー記事は横澤氏が投稿している月刊美術雑誌「ギャラリー」の4月1日発売号に掲載予定であるので内容に興味あるかたは是非ご覧あれ。
新館長のアントニオ・ナターリ氏は物腰の柔らかくダンディーな容姿で、言葉のひとつひとつに深みを持つ非常に魅力的な人物である。ウフィツィ美術館の今後のあり方を真剣に考えておられる問答に印象つけられた。

この週末はこんなわけで実に内容の濃い、充実した2日間を過ごすことができたわけである。
EEA21の横澤氏に感謝。

by jamartetrusco | 2007-03-07 18:45 | Vita (人生)


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