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トスカーナ 「進行中」 In Corso d'Opera

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2006年 04月 05日

Porta (扉)のコラージュ

モンテフィオラーレは城塞の作りになっているので内壁に沿って円形状に建物が建っています。小さな町を広場から一周するとまた広場に出てきます。
家はすべて石造りですが、ひとつずつの家で特徴的なのはそれぞれの異なるPorta - 扉です。色もさまざま、古さもさまざま、金具もそれぞれ違っていて、鉄細工の施しのあるものもあったり、それぞれの家に異なる表情を与えています。
こういった中世の時代からさほど外観を変えずに立っている町では壁の石、道の石畳、
木の扉、釘の一本にも歴史が感じられ、想像力をたくましくさせてくれます。
人気のいない午後一番などに静かに城内を散歩すると扉の一枚、一枚が何か語ってくれるようです。


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# by jamartetrusco | 2006-04-05 00:38 | Paese (土地柄)
2006年 04月 04日

Pensatrice ー 作家人生20年

私がアレと知り合った93年の夏、彼はフィレンツェに小さいスタジオを持っていました。このスタジオをただで貸してくださっていたのは、不幸にも自殺した画家の息子の代わりにアレを大事に思ってくれていたヴィッキョに住む今は亡きモーロ夫人でした。今でも彼女のご主人や娘さん一家との交流は続いてます。
この夫人のおかげでアレの作家としての生活が始まったとも言えます。それ以前の彼は今では想像もつきませんが、フィレンツェのファッションブランドの老舗グッチに経理担当として働いていました。彼の伯父さんがベルトやバッグの金具などに使われたGCマークの考案者で、グッチの下請けとして鞄など作っていたこともあって入社したそうです。10年ほど勤めたものの自分に全く合わない仕事をすることに耐えられなくなり、80年代半ばに幼少からの情熱であった絵の道を歩むことに決め、退社します。
その頃はとにかく周りにある素材、捨ててある箪笥の扉板やら厚紙やら、手当たり次第に絵を描いていた時代で、そんな全く先の見えない時期に無償でスペースを貸してくださったこのモーロ夫人は今でも彼の心の大恩人です。 

86年にフィレンツェのDolce Vitaというカフェバーで、初めての展覧会を開きましたが、そのとき出品したのがこの"Pensatrice"「考える人」です。 20年前のアレの作家としての第1歩を象徴する作品です。当時から一番惹かれる芸術家はレオナルド・ダ・ビンチでしたから、どこかその影響もほのかに感じられる絵です。彼にとってこの"Pensatrice"は魂のよりどころとなる作品のようです。

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その頃の絵はすべてイタリアの伝統的な絵画の手法を使い、自然の動物脂の膠などを媒体とした下地の上に油やテンペラで色彩を施していました(そのためかびなどがはえやすくて、現在住む田舎の家にて保存するのは骨の入ることです)。20年前絵画の修復工房などに短期間出入りしながら技法を学び、その後は試行錯誤、自身の経験から生み出した絵画技法を続けています。

人生とにかく自分の信念一筋に制作し続けていくこと、また途中であきらめないこと、そうすれば必ず残るものはある、というモットーにてとにかくひたすら頑固に、身勝手に、でも純粋に作家人生を歩んでいる人。ものつくりというのは職業ではない、という真実。アレと私(そして今は娘の未奈も)の人生は互いの生き方が完全に一つの輪となって絡み合っているのでどちらの存在もひとつの輪を構成するのに不可欠なのです。最近つくづくそれが見えてきました。
今年は主人が作家として歩み始めて20年(作家人生では未だ宵の口)、私との結婚記念
10周年とひとつの区切りの年、新たな地平線が見えてくれば良いな。




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# by jamartetrusco | 2006-04-04 00:38 | Vita (人生)
2006年 04月 03日

アレの彫刻 その2 Teste di Cipresso 

私たちのテラスから下に降りる庭には杉の木がたくさん植えてあり、大家さんが3人の子供が生まれたたびに植えたと言うことですが、今年はそのいくつかが伐採されてしまいました。数年前にも壁付近に植えてあった杉が成長し過ぎて壁を崩してしまい、切らざるをないことになりました。今年は大家さんの大決心で家に向かってのび過ぎた松の木とありすぎる杉の木のいくつかを切り倒しました。今まであった木が切り倒されるというのは本当に辛い思いでしたが、その木はアレによって第2の生命を与えられることになります。

 松の木があったところに植木鉢を置きました。

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最初に倒された杉は数年前に“Teste di Cipresso" 「杉の頭」の彫刻として生まれ変わりました。
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外皮を削っていくにつれスタジオが杉の芳香に満ちていきます。杉はもともと軽いですが、1年ほど置いておくと木もかわいてきてかなり軽くなります。

今年不幸にも切られてしまった松の木や杉の木も現在乾かしているところ。切ってすぐに彫ってみたのですが、やはりあまりにも湿っていて彫りにくく、また乾くうちに割れてくる恐れもあるのでもう少し待つらしい。 次にどんな生命を与えられて生まれ変わるのか楽しみにしています。

オリーブの木 "Mano" 「手」
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  松の木 ” Testa" 「頭部」
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# by jamartetrusco | 2006-04-03 00:21 | Arte di Ale(アレのアート)
2006年 04月 02日

Albero Sacro (神聖なる木)

今日は買い物を隣町(グレーベは野外マーケットが毎土曜日にあり、たくさんの人が出るので面倒な時は隣町に買い物に行くのです)の Mercatale, メルカターレまで足を伸ばしましたが、この近くにときどき「拝み」に行くquercia (オークの木)があります。

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この辺りのquerciaの中で、一番大きく樹齢が長いと聞いています。
小道を車で入っていくとそこは人や車の音のしない静けさに満ちた別世界。大木の隣には
今ではひとけのない礼拝堂がたたずんでいます。

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奥には大きなお屋敷があって、そこには今でもどなたかお住まいでしょう。15世紀の典型的な構えのVillaです。今だ観光におかされていない桃源郷のような一角です。そこにこの大木がそびえているのです。大きくなりすぎて枝が落ちたりしてところどころ治療が施されていてなにか本当に「ご老人」をおもわせる風格。というより「指輪物語」に登場するエンテのような木の仙人の如き存在です。

こういう大木の前に立つと本当の意味で自然の大きさに包まれ、神聖な気持ちになるのです。

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# by jamartetrusco | 2006-04-02 00:13 | Paese (土地柄)
2006年 04月 01日

野生アスパラガス

今日はやっと春らしい日差しの午後となり、娘の学校も半日の日なので、恒例の野生アスパラガス探しにでかけました。大体この時期に雨が降ったり、日が出たりという気候が続くと地面から野生のアスパラガスが芽を出してくるのです。
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12年前に初めてこの地に来たときの1年間、アレと一緒にキャンティを隅々まで訪れました。丘に登り、川を下り、畑を横切り、とにかくよく散策したものです。そのときに得た経験は今でも何かの形で残っているようです。
そんな中で季節ごとに手に入る野生の菜っ葉やネギ、果実などを自分たちで収穫して、味わうときの感激。
中でもこの時期の野生アスパラガスはとりわけ美味しいのです。お店で売っているものよりずっと細くて、緑というより紫茶色で、またなんと言っても味が別格に濃くて美味しい、パスタのソースにしたりイタリア風オープン・オムレツ(frittata)に入れたりします。
私はこの12年の経験で、自称アスパラガス探しの名人。草や低木が絡み合いながら茂っている丘の畑をアスパラガス目指して歩くのです。アスパラガスの草が見えたらその下を見れば黒っぽいアスパラガスがにょきっ!と頭を出しています。
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というわけで今日は初物アスパラガスありがたく頂くことにします。
また今日初めてつばめが現れました!  本格的春の到来です。冬が長かったからその分
感激あらた。

道ばたに楚々と咲く小さな野の花ばな。春の到来を知らせる風物です。

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# by jamartetrusco | 2006-04-01 01:04 | Paese (土地柄)